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助動詞(8)「た(だ)」

助動詞「た(だ)」の意味・活用・接続について見ていきましょう。「た(だ)」には、三つの意味があります。しっかり覚えましょう。

▼ 「た(だ)」の意味

助動詞「た(だ)」の意味をみていきましょう。

「た(だ)」には、三つの意味があります。ひとつずつ、例をげながらみていきましょう。

(1) 過去かこ

● きのう、お寿司すしを 食べ  。

この例文は、「お寿司を食べる」という動作をしたのが、「きのう」という過去のことであることをあらわしています。

「お寿司を食べる」のが将来のことであるなら、たとえば、「あした、お寿司を食べる。」というように、「食べる」のままでもよいのです。しかし、過去の出来事であるなら、「きのう、お寿司を食べる。」というのは変です。そこで、過去をあらわす場合には、文末に助動詞の「た(だ)」をつけます。

「た(だ)」は、過去、すなわち、その動作から時間がたっていることをあらわす助動詞です。これが「た(だ)」の一つめの意味です。

(2) 完了かんりょう

● やっと 仕事が 終わっ  。

例文は、話している時点で、仕事がちょうど終わったところであるという意味をあらわしています。「ついに」、あるいは、「やっと」終わったという意味ですね。ただし、終わったのが現在のことなのか過去のことなのかは、これだけではわかりません。時間とは関係なしに、とにかく終わったことをあらわすのですね。

このように、動作が終わったこと完了といいます。「た(だ)」の二つめの意味は、この完了です。

(3) 存続そんぞく

● やぶれ  布を 捨てる。

布は、捨てるまえにすでに破れていたのであって、捨てたあとに破れたのではないですよね。そして、捨てるときにもまだ破れている状態のままです。つまり、布は一度破れたあとで、その状態がずっと続いているのですね。

このように、動作がすでに終わっているのですが、その状態あるいは結果がずっと続いていること存続といいます。「た(だ)」の三つめの意味は、存続です。

なお、存続の「た(だ)」は、「破れ布」→「汚れている●●●ている布」「汚れてある●●●てある布」のように言いかえることができます。

助動詞「た(だ)」には、過去・完了・存続という三つの意味のほかに、確認という意味もあります。次の例文を参考にしてください。

● 今日の日直は、僕と田中さんだっ  。

★ まとめ ★

【助動詞「た(だ)」の意味】

① 過去 (動作から時間がたっている)

② 完了 (動作が終わる)

③ 存続 (~ている・てある)

* 確認という意味もある。

▼ 「た(だ)」の活用

助動詞は、活用する語です。「た(だ)」も助動詞ですから、活用します。どのように活用するのかをみていきましょう。

● 起き  → 起きたろう 起きとき 起きたら(ば)

● 読ん  → 読んだろう 読んとき 読んだら(ば)

この例の赤字の部分だけを抜き出して、「た(だ)」の活用表をつくってみましょう。助動詞にも、活用形の種類があります。

【表】助動詞「た(だ)」の活用表

基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形

(だ)

たろ

(だろ)

(だ)

(だ)

たら

(だら)

続くことば  

(言い切る)

トキ (バ)  

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なんともいいようのない活用のしかたです。「た(だ)」には、連用形と命令形がありません。「た(だ)」は特殊な活用をする助動詞であると覚えておきましょう。

ところで、「た」の後ろにある丸かっこで囲んでいる「」は一体なんなのか、気になることと思います。これは、「た」が特定行の五段活用の動詞に続くときに「だ」に変化することをあらわしています。次の例を参考にしてください。

● 稼ぐ(ガ行)―た → 稼い 

● 死ぬ(ナ行)―た → 死ん 

● 呼ぶ(バ行)―た → 呼ん 

● 住む(マ行)―た → 住ん 

「た」が「だ」になるときの五段動詞の形はふつうの連用形ではなく、音便の形になります。たとえば、「稼ぐ」の連用形はふつうは「稼ぎ」ですが、「た(だ)」がつくときは「稼い(だ)」になります(イ音便)。「死ぬ」などの連用形も「死に」ではなく、「死ん(だ)」に変わっています(はつ音便)。

**

「た(だ)」の活用についてもう一つ。「た(だ)」の仮定形には「ば」が続きますが、「死んだら」「住んだら」のように、「ば」をつけずに仮定形をそのまま用いることもできます。むしろ、日常の会話では「ば」をつけないことが多いですよね。

★ まとめ ★

【助動詞「た(だ)」の活用】

○ 「た(だ)」は、特殊型の活用をする。

* 「た」がガ・ナ・バ・マ行の五段活用の動詞に続くとき、「だ」になる。

▼ 「た(だ)」の接続

助動詞は、付属語です。付属語は、かならず他の語のあとに続けて用いられます。「た(だ)」という助動詞はどのような語のあとに続くのかをしらべましょう。

次の例を見てください。

【A】 食べ た  おもしろかっ た  きれいだっ た

【B】 行か  た  見 させ た  行か  た  見 られ た  行か なかっ た  行き そうだっ た  行く らしかっ た  …

Aのグループの「食べ(た)」「おもしろかっ(た)」「きれいだっ(た)」は、それぞれ動詞(食べる)・形容詞(おもしろい)・形容動詞(きれいだ)の連用形です。

このように、「た(だ)」は、すべての用言(動詞・形容詞・形容動詞)の連用形につきます

**

次にBのグループについてですが、赤字部分はすべて助動詞の連用形です。「た」がつく助動詞は例にあげたものだけにかぎりません。「た」は、多くの助動詞の連用形につくことができます。ただし、「ぬ(ん)」「う」「よう」「まい」にはつきません。

★ まとめ ★

【助動詞「た(だ)」の接続】

○ 「た(だ)」は、用言、および、多くの助動詞の連用形に接続する。

* 助動詞「ぬ(ん)」「う」「よう」「まい」には接続しない。

▼ 練習問題で理解度チェック

【問題1】

次の各文中の下線部の意味を、あとから選んで記号で答えなさい。

(1) 昨日の晩に事件が起き

(2) 掃除が終わったら、ごみを出しに行きなさい。

(3) これと似色の服を探しています。

(4) 地球は、青かっ

 ア 過去  イ 完了  ウ 存続  エ 確認

【正解】

(1) ア  (2) イ  (3) ウ  (4) エ

【解説】

助動詞「た」の意味を見分ける問題です。「た」には、過去・完了・存続という三つの基本的な意味があって、さらに確認という意味もあります。それらのうち、まぎらわしくて迷うのが過去と完了でしょう。過去は現在や未来ではない時間ですが、完了は過去・現在・未来といった時間に関係ないというのがポイントです。

(1)の文は「昨日」のことですから、過去の意味であるとわかります。これに対して、(2)は現在または未来のことですから、完了の意味であると一応は言えます。しかし、完了は、かならずしも現在・未来の文中だけで用いられるわけではなく、過去の文中で用いられることもあります。たとえば、「ドアを開けたら、犬が飛び乗ってきた。」という文は過去の出来事をあらわしていますが、この下線部は完了の意味です。

存続の意味の「た」は、「~ている」「~てある」に言いかえることができます。(3)の「似色」は「似ている色」と言いかえることができるので、存続の意味です。(4)は、過去・完了・存続のいずれの意味でもないので、確認の意味です。

【問題2】

次の各文中から助動詞「た」を探し出して、その活用形を答えなさい。

(1) 雨が止んだら、買い物に出かけます。

(2) つかれたから、少し休みたい。

(3) 努力したかいがあった。

(4) いままでこんなことがあったろうか。

【正解】

(1) 仮定形  (2) 終止形  (3) 連体形  (4) 未然形

【解説】

まずは、「た」の活用のしかたを覚えてください。それから、文中の「た」がつらなる語(直後の語)に注目しましょう。(1)の「だら」は直後にテン(読点)があります。これは、「止んだらば」と言うこともできますから仮定形です。(3)の「た」は、体言「かい」につらなっているから連体形です。(4)の「たろ」は、助動詞の「う」につらなっているので未然形です。

(2)の「た」は「から」につらなっていますが、これは終止形でしょうか、それとも連体形でしょうか。「た」は終止形と連体形が同じ形なので判断に迷いやすいと思います。こういうときは、「た」を適当な形容動詞(たとえば、「元気だ」)に置きかえましょう。「元気だ」の連体形は「元気な」ですが、「元気なから」とは言えませんので、「から」は連体形にはつかないことがわかります。したがって、(2)の「た」は終止形です。

**

【問題3】

次の文を、助動詞を用いて過去および未来をあらわす文に改めなさい。

 田中さんは、試験に合格する。

【正解】

(過去)田中さんは、試験に合格した。

(未来)田中さんは、試験に合格しよう(合格するだろう)。

【解説】

過去をあらわすときは、文末に助動詞「た」を用います。逆に、未来をあらわすときは文末に助動詞「う」「よう」を用いるか、あるいは、「だろう」「でしょう」(助動詞「だ」「です」の未然形に助動詞「う」がついた形)をつけます。

なお、助動詞の「た」や「う」「よう」を用いなくても、過去や未来をあらわすことができます。たとえば、「犯人は、ここから侵入している。」という文は、「た」を用いていませんが、過去(経験)をあらわしています。また、「あしたは、雨が降る。」という文は、「う」や「だろう」をともなわなくても、未来をあらわしています。

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