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動詞(8) ― 自動詞・他動詞

動詞の分類のしかたはさまざまですが、このページでは自動詞と他動詞という分類を取り上げてみたいと思います。自動詞・他動詞とはなにか、どのようにちがうか、その判別のしかた、自動詞と他動詞との対応関係について語例をもとに具体的に考えていきましょう。

▼ 自動詞と他動詞

動詞の主な分類の一つとして、自動詞と他動詞という分類があります。

次の例を見てください。

● 手紙が 届く 。 (自動詞)

● 手紙を 届ける 。 (他動詞)

「届く」と「届ける」のどちらも、差し出した物が目的地に行き着くことをあらわしています。ただし、両者の意味はまったく同じなわけではありません。

「届く」という動詞は、「目的地に行き着く」という意味を「手紙」それ自身のするはたらきとしてあらわしています。「届く」の場合、「手紙」は動作・作用をする側であって影響をうける側ではありません。

これに対して、「届ける」という動詞は、「目的地に行き着く」という意味を「手紙」に対するはたらきかけとしてあらわしています。「届ける」の場合、「手紙」は動作・作用の影響をうける側にあります。

このように、動作・作用をそれ自身のするはたらきとしてあらわす動詞を自動詞じどうしと呼びます。そして、動作・作用を他に対するはたらきかけとしてあらわす動詞を他動詞たどうしと呼びます

自動詞と他動詞とのちがいは、動作・作用が他のものに影響を及ぼすかどうかという点にあります。

ある動詞が自動詞か他動詞であるかは、その意味によって判別することができます。そして、もう一つの方法として、動詞にかかる修飾語に着目して判別することもできます。

次の例を見てください。

● 水が 流れる 。  水  流す 。

● 火が 消える 。  火  消す 。

● 目が 覚める 。  目  覚ます 。

動作・作用をそれ自身のするはたきらとしてあらわす動詞が自動詞であり、他に対するはたらきかけとしてあらわす動詞が他動詞であると説明しました。上の例では、「流れる」「消える」「覚める」が自動詞で、「流す」「消す」「覚ます」が他動詞です。

他動詞の直前の文節に注目してください。「水を」「火を」「目を」は、それぞれ「流す」「消す」「覚ます」にかかる文節(修飾語)ですが、「―を」という形になっていますね。

このように、他動詞は、「―を」という形の文節を受けます。「―を」は動作・作用が及ぶ対象をあらわしています(目的語)。したがって、ある動詞が他動詞と自動詞のどちらであるかは、「―を」という形の文節を受けるかどうかによって判別することもできます。

ほとんどの場合には、「―を」の形の文節を受けるのは他動詞です。しかし、自動詞であっても、たとえば次の例文のように、「―を」の形の文節を受けることがあります。

● 空  飛ぶ 。 その場  去る 。 

この例文の「―を」は、移動する場所をあらわしています。

★ まとめ ★

【自動詞と他動詞】

○ 自動詞は、動作・作用をそれ自身のするはたらきとしてあらわす動詞である。他動詞は、動作・作用を他に対するはたらきかけとしてあらわす動詞である。

○ 他動詞は、「―を」という形の文節を受ける。

▼ 自動詞と他動詞の対応

自動詞と他動詞の多くは、お互いに似た語どおしでつい(ペア)になります

次の表で、「減る」と「減らす」、「建つ」と「建てる」、「集まる」と「集める」がそれぞれ自動詞・他動詞の対をなしています。

【表】自他対応

自動詞 他動詞

量が 減る

ラ行五段活用)

家が 建つ

(タ行五段活用)

魚が 集まる

ラ行五段活用)

量を 減らす

サ行五段活用)

家を 建てる

(タ行下一段活用)

魚を 集める

マ行下一段活用)

両者をくらべてみると、一見よく似ています。しかし、よく検討してみると、お互いに活用の行または種類にちがいがあることがわかります。

「減る」と「減らす」では活用の行がちがっており、「建つ」と「建てる」では活用の種類がちがっています。また、「集まる」と「集める」では、活用の行も種類もちがいます。

もっとも、次の例のように、自動詞と他動詞とで活用がまったく同じ場合もあります。

● 【自】扉が 開く 。 【他】扉を 開く 。 (ともにカ行五段活用)

● 【自】目が 閉じる 。 【他】目を 閉じる 。 (ともにザ行上一段活用)

自動詞と他動詞とは、つねに対になるわけではありません。次の例のように、対応する語がない自動詞や他動詞も多くあります

【対応する他動詞がない自動詞の例】

● 行く ある 来る そびえる ありふれる

【対応する自動詞がない他動詞の例】

● 殺す 置く 読む 投げる 打つ

★ まとめ ★

【自動詞と他動詞の対応】

○ 自動詞と他動詞は、似た語どおしで対になる。

○ 対応する語がない自動詞や他動詞も多い。(「行く」「読む」など)

▼ 練習問題で理解度チェック

【問題】

次の下線部の動詞に対応する自動詞または他動詞を答えなさい。

(1) 火を 消す 。― 火が( )。

(2) お湯が  。― お湯を( )。

(3) 紙を 破る 。― 紙が( )。

(4) 話が 運ぶ 。― 話を( )。

(5) 問題を 起こす 。― 問題が( )。

(6) 部品が 抜ける 。― 部品を( )。

【正解】

(1) 消える  (2) 沸かす  (3) 破れる  (4) 運ぶ  (5) 起こる(起きる) (6) 抜く(抜かす)

【解説】

自動詞と他動詞の対応についてかんがえる問題です。設問文下線部の動詞について、どのような語が対になるのが適当であるかをかんがえましょう。設問において、「―を」の形の文節を受ける動詞はすべて他動詞です。

(1) 「消す」は他動詞。これに対応する自動詞は「消える」です。

(2) 「沸く」は自動詞。これに対応する他動詞は「沸かす」です。ちなみに、使役の助動詞「せる」を用いても同じ意味をあらわすことができます(「沸かせる」)。

(3) 「破る」は他動詞。これに対応する自動詞は「破れる」です。ちなみに、受け身の助動詞「れる」を用いても同じ意味をあらわすことができます(「破られる」)。

(4) 「運ぶ」は、自動詞と他動詞が同じ活用をする動詞です(自他同形)。このような動詞としては、ほかに「開く」「閉じる」「(危険が/を)ともなう」「(水が/を)増す」「(実が/を)結ぶ」「(眠気が/を)もよおす」などがあります。

(5) 「起こす」は他動詞ですが、これに対応する自動詞には、「起こる」と「起きる」の二つがあります。

(6) 「抜ける」は自動詞ですが、これに対応する他動詞として、「抜く」「抜かす」の二つがあります。(5)(6)のように、自動詞と他動詞は必ずしも1対1に対応するとはかぎりません。

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