■ 助動詞「う・よう」
(1) 意味
① 推量 …「~だろう」と想像する(推しはかる)。
(例) 東京は暑かろう。
② 意志 …「~するつもりだ」という強い気持ち。
(例) ごはんを食べよう。
(2) 活用
無変化型
基本形 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 仮定形 | 命令形 |
う | ○ | ○ | う | (う) | ○ | ○ |
よう | ○ | ○ | よう | (よう) | ○ | ○ |
※ 連体形は、「こと・もの・はず」が付く場合だけ用いられる。
(3) 接続
「う・よう」は、用言や一部の助動詞の未然形に付く。
① 用言の未然形
う :動詞(五段活用)・形容詞・形容動詞の未然形に付く。
(例) 行こう 楽しかろう きれいだろう
よう:五段活用以外の動詞の未然形に付く。
(例) 起きよう 受けよう 来よう しよう
② 一部の助動詞の未然形
う :「ない・たい・だ・ようだ・そうだ・た・ます・です」の未然形に付く。
(例) 話さなかろう 話すだろう
よう:「せる・させる・れる・られる」の未然形に付く。
(例) 起きさせよう 愛されよう
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助動詞「う・よう」の意味・活用・接続を見ていきましょう。
「う」と「よう」は、どちらも意味と活用のしかたは同じですが、接続のしかたが違います。
「う・よう」には、次の二つの意味があります。
(1) 推量
次の例文を見てください。
東京は 暑かろう。
あすには 雪も 消えよう。
最初の文の「暑かろう」は、実際に東京にいて暑いことを確かめたわけではないけれども、たぶん暑いだろうと想像する(推しはかる)という意味を表しています。
次の文の「消えよう」も、「あす」という将来のことであってまだそうなっていないのですが、雪が消えるだろうと想像するという意味を表しています。
このように、話し手が「~だろう」と想像する(推しはかる)ことを推量といいます。「う・よう」の一つめの意味は、推量です。
日常の会話文では、上の例文のように、動詞や形容詞に「う・よう」を直接続けて用いることはあまりありません。
ふつうは、次のように、「だろう」や「でしょう」となる形で同じ意味を言いあらわします。
・東京は暑いだろう。
・あすには 雪も 消えるでしょう。
この「う」は、ここで説明した推量の助動詞です。
(2) 意志
次の例文を見てください。
駅まで 自転車で 行こう。
帰って ごはんを 食べよう。
最初の文の「行こう」は、話し手が「行く」という動作をするつもりである、あるいは、そう決心するという意味を表しています。
次の文の「食べよう」も、「食べる」という動作をするつもりであるという意味です。
上の例の「う」「よう」は、「~するつもりだ」という話し手の強い気持ちを表しており、これを意志といいます。「う・よう」の二つめの意味は、意志です。
「行こう」も「食べよう」も、ことばの捉え方によっては、単に話し手がそう思っているというだけにとどまらず、聞き手に対して誘いかけている意味に理解することもできます。
「いっしょに行きませんか」「いっしょに食べませんか」という意味です。
このような意味をとくに勧誘といいます。勧誘も「う・よう」の意味の一つです。
*
以上のように、「う・よう」には推量と意志の二つの意味があります。
ある文中の「う・よう」がどちらの意味であるかを見分けたいときは、次のようにします。
「う・よう」の意味の見分け方
文中の「う・よう」を「だろう」「でしょう」に言いかえて、意味が変わらなければ推量、そうでなければ意志(勧誘)。
「う・よう」という助動詞はどのように活用するのでしょうか。
「う・よう」の活用表を見てみましょう。
【表】「う・よう」の活用表
基本形 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 仮定形 | 命令形 |
う | ○ | ○ | う | (う) | ○ | ○ |
よう | ○ | ○ | よう | (よう) | ○ | ○ |
続くことば |
(言い切る) |
コト |
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この活用表を見ると、「う」も「よう」も活用形が終止形と連体形の二つしかありません。しかも、同じ形であって変化していません。
ことばの形は変化していませんが、活用形の別はあるので一応活用があると考えましょう。「う・よう」は、無変化型の活用をする助動詞です。
同じように無変化型の活用をする助動詞としては、「まい」があります。
無変化型の活用は、すべて基本形と同じであるので覚えやすいでしょう。
*
ところで、もう一度活用表を見ると、連体形が丸かっこで囲んであります。
これは、連体形の「う」「よう」が用いられるのは、「こと・もの・はず」といった名詞が続くときだけにかぎられるということを表しています。
次の例文を参考にしてください。
これから 起こるで あろう ことを 予測する。
油断しよう ものなら、負けて しまう。
彼が 来よう はずが ない。
「う・よう」がどのような語のあとに続くのかをしらべてみましょう。
(1) 「う」の接続
まずは、「う」の例から。
行こ う (動詞)
楽しかろ う (形容詞)
きれいだろ う (形容動詞)
この例の赤字部分は、動詞・形容詞・形容動詞の未然形です。
つまり、助動詞「う」は用言(動詞・形容詞・形容動詞)の未然形に付きます。
ただし、動詞については、五段活用の動詞にしか付きません。
たとえば、「起きる」(上一段活用)の未然形「起き」に「う」を続けて、「起きう」という言い方をすることはありません。
*
別の例を見てみましょう。
話さ なかろ う
話し たかろ う
話す だろ う
話す ようだろ う
話し そうだろ う
話し たろ う
話し ましょ う
話す でしょ う
この例の赤字部分は、すべて助動詞の未然形です。
このように、「う」は、助動詞「ない・たい・だ・ようだ・そうだ・た・ます・です」の未然形にも付きます。
(2) 「よう」の接続
つぎに、「よう」の例を見ましょう。
起き よう (上一段活用)
受け よう (下一段活用)
来 よう (カ変)
勉強し よう (サ変)
この例の赤字部分は、すべて動詞の未然形です。ただし、五段活用の動詞はありません。
このように、「よう」は、五段活用以外の動詞の未然形に付きます。
*
もう一つの例を見てみます。
立た せ よう
起き させ よう
愛さ れ よう
忘れ られ よう
この例の赤字部分は、すべて助動詞の未然形です。
このように、「よう」は、これらの助動詞「せる・させる・れる・られる」の未然形にも付きます。
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次の各文中の下線部の語が同じ意味の文をあとから選んで、記号で答えなさい。
(1) さぞ、景色がよかろう。
ア よく調べておこう。
イ いっしょに遊ぼう。
ウ 彼が来ようはずがない。
(2) 挑戦しようと決心した。
ア 数百万円はするであろう。
イ 雪のような白さだ。
ウ 眠いから、あしたやろう。
【考え方】
「う・よう」の意味を見分ける問題です。
「う・よう」には、推量と意志という二つの意味があります。さらに勧誘を付け加えることもあります。
「う・よう」を「だろう」「でしょう」に言いかえて、文の意味が変わらなければ推量であり、そうでなければ意志(勧誘)を表しています。
(1)の「よかろう」は、「よいだろう」と言いかえても意味が変わらないので推量を表しています。
同じように、(1)ウの「来よう」は「来るだろう」と言いかえることができるので推量の意味です。
ちなみに、形容詞に「う」が付くときは、かならず推量の意味になります。
(2)の「挑戦しよう」を「挑戦するだろう」に言いかえると、文の意味がおかしくなります。したがって、この場合の「よう」は、推量ではなく意志を表しています。
同じように、(2)ウの文も、「やろう」を「やるだろう」に言いかえると文の意味がおかしくなってしまいますから、意志を表しています。
(2)アの「であろう」は「だろう」と同じ。
(2)イは、直前の「の」に注目してください。助動詞の「よう」は助詞「の」に付くことはありません。この場合の「よう」は、助動詞「ようだ」の一部です。
【答】
(1) ウ
(2) ウ
*
次の語の中から、助動詞「よう」が接続する語を二つ選びなさい。
書く 勉強する きれいだ よい 読みます 言われる
【考え方】
「よう」の接続のしかたを確認する問題です。
「よう」は、五段活用以外の動詞(の未然形)、および、助動詞「せる・させる・れる・られる」(の未然形)に接続します。
「書く」は五段動詞、「勉強する」はサ変動詞、「きれいだ」は形容動詞、「よい」は形容詞、「読みます」は五段動詞+「ます」、「言われる」は五段動詞+「れる」です。
【答】
勉強する / 言われる