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「そうだ」

要点のまとめ

■ 助動詞「そうだ」

(1) 意味

① 様態ようたい … そういう様子ようすである。

(例) あの人は元気そうだ。

② 伝聞でんぶん … 他からそのように聞く。

(例) あの人は元気だそうだ。

(2) 活用

形容動詞型

① 様態の「そうだ」

未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
そうだろ

そうだっ

そうで

そうに

そうだ そうな そうなら ○

② 伝聞の「そうだ」

未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
○ そうで そうだ ○ ○ ○

(3) 接続

① 様態の「そうだ」

❶ 動詞および助動詞「せる・させる・れる・られる」の連用形に付く。

(例) 眠りそうだ 聞かせそうだ 見られそうだ

❷ 形容詞・形容動詞の語幹、および、助動詞「ない・たい」の語幹にあたる部分「な・た」に付く。

(例) 楽しそうだ 元気そうだ 知らなそうだ

② 伝聞の「そうだ」

用言(動詞・形容詞・形容動詞)および多くの助動詞の終止形に付く。

(例) 眠るそうだ 楽しいそうだ 元気だそうだ

(例) 知らないそうだ

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解説

助動詞「そうだ」の意味・活用・接続を見ていきましょう。

「そうだ」には様態ようたいと伝聞でんぶんという二つの意味があり、それぞれ接続のしかたが違います。

1 「そうだ」の意味

助動詞の「そうだ」には、次の二つの意味があります。

(1) 様態ようたい

次の例を見てください。

あの 人は 元気そうだ。

「元気そうだ」は、元気な様子ようすだ、という意味です。

もう少しくわしく言うと、「元気そうだ」は、話し手自身が「あの人」に会ったり話したりして、元気であると思うという意味を表しています。

このように、自分で見聞きして「そういう様子である」と思うことを様態といいます。「そうだ」の一つめの意味は、様態です。

(2) 伝聞でんぶん

それでは、次の例はどうでしょうか。

あの 人は 元気だそうだ。

一見、(1)の例文と同じに見えますが、「元気だ﹅そうだ」と、一字多く入っています。こうすると、意味が少し変わってきます。

「元気そうだ」のほうは、自分(話し手)が様子をたしかめて元気だと思ったというニュアンスをふくんでいます。

これに対して、「元気だそうだ」のほうは、自分でたしかめてそう思ったわけではなく、他人から「あの人は元気だ」と聞いたという意味になります。

このように、他人からそのように聞いたという意味を伝聞といいます。「そうだ」の二つめの意味は、伝聞です。

*

以上のように、助動詞の「そうだ」には様態と伝聞の二つの意味があります。

ところで、二つの意味の例文をくらべてわかるように、様態の「そうだ」と伝聞の「そうだ」とではそれぞれの接続のしかたに違いがあります。

逆に言うと、接続のしかたによって「そうだ」がどちらの意味であるかを見分けることができます。くわしくは、あとで説明します。

2 「そうだ」の活用

「そうだ」という助動詞がどのように活用するのかを見ていきましょう。

(1) 様態の「そうだ」の活用

例として、「燃えそうだ」という語を活用させてみましょう。

【燃えそうだ】

→燃えそうだろう

→燃えそうだった

→燃えそうである

→燃えそうになる

→燃えそうだ。

→燃えそうなとき

→燃えそうなら(ば)

この例の赤字の部分だけを抜き出して、「そうだ」の活用表をつくってみます。

【表】様態の「そうだ」の活用表

基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形

そうだ

(様態)

そうだろ

そうだっ

そうで

そうに

そうだ そうな そうなら ○
続くことば ウ

タ

アル

ナル

(言い切る)

トキ (バ)  

★スマートフォンの方は、横にスクロールさせてください。

この活用のしかたは、形容動詞の活用と同じです。

このように、「そうだ」は、形容動詞型の活用をする助動詞です。ただし、形容動詞とちがって、語幹と活用語尾の区別はありません。

なお、上の活用表では、「バ」を丸かっこで囲んであります。

これは、仮定形の「そうなら」は、「ば」が付くこともありますが、「ば」を付けずにそのままの形で用いることもできるという意味です。

(形容動詞の活用については、「形容動詞(2)活用」のページを参照してください。)

(2) 伝聞の「そうだ」の活用

次に、伝聞の「そうだ」の活用例を見てみましょう。

例として、「燃えるそうだ」を活用させてみます。

【燃えるそうだ】

→燃えるそうである

→燃えるそうだ。

伝聞の「そうだ」の活用はこれだけです。赤字部分を抜き出して活用表にしてみましょう。

【表】伝聞の「そうだ」の活用表

基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形

そうだ

(伝聞)

○

そうで

そうだ ○ ○ ○
続くことば   アル

(言い切る)

     

★スマートフォンの方は、横にスクロールさせてください。

様態の「そうだ」の活用表とくらべると、連用形の一つと終止形だけしかありません。

それでも、一応、様態の「そうだ」とセットにして形容動詞型の活用であると覚えておきましょう。

3 「そうだ」の接続

「そうだ」は、その意味によって接続のしかたが違ってきます。

(1) 様態の「そうだ」の接続

まずは、様態の「そうだ」の接続のしかたからです。

次の例を見てください。

眠り そうだ

聞か せ そうだ

見 させ そうだ

聞か れ そうだ

見 られ そうだ

上の例の赤字部分は、動詞(眠る)および助動詞「せる・させる・れる・られる」の連用形です。

このように、様態の「そうだ」は、すべての動詞および助動詞「せる・させる・れる・られる」の連用形に付きます。

*

別の例を見てみましょう。

楽し そうだ

元気 そうだ

知ら な そうだ

聞き た そうだ

上の赤字部分「楽し」「元気」は、それぞれ形容詞・形容動詞の語幹ごかんです。

あとの二つの「な」「た」は、それぞれ助動詞「ない」「たい」の一部分です。

「ない」「たい」のうちの活用によっても変化しない部分、つまり用言の活用でいうところの語幹にあたる部分が「な」「た」です。

このように、様態の「そうだ」は、形容詞・形容動詞の語幹や、助動詞「ない」「たい」の語幹にあたる部分「な」「た」に付くこともあります。

(語幹については、「動詞(2)活用とその種類」のページを参照してください。)

例外として、様態の「そうだ」が形容詞「ない」「よい」に付くときだけは、それぞれの語幹「な」「よ」に直接「そうだ」が付くのではなく、語幹と「そうだ」の間に「さ」をはさむ形になります。

つまり、「なさ﹅そうだ」「よさ﹅そうだ」となります。

(2) 伝聞の「そうだ」の接続

つぎに、伝聞の「そうだ」の接続の例を見てみます。

眠る そうだ

楽しい そうだ

元気だ そうだ

学ば せる そうだ

行か れる そうだ

知ら ない そうだ

知り たい そうだ

本当 だ そうだ

読ん だ そうだ

…

赤字部分のうち、「眠る」「楽しい」「元気だ」は、それぞれ動詞・形容詞・形容動詞の終止形です。

残りの部分はすべて助動詞の終止形であり、「そうだ」は例にあげていない助動詞の終止形にも付きます。

このように、伝聞の「そうだ」は、用言(動詞・形容詞・形容動詞)の終止形や、多くの助動詞の終止形に付きます。

*

以上のように、「そうだ」には様態と伝聞の二つの意味がありますが、どちらの意味であるかによって接続のしかたが違います。

したがって、文中の「そうだ」が様態と伝聞のどちらの意味であるかを見分けるには、「そうだ」の接続のしかたによって判断します。

国文法のコツ

「そうだ」の意味の見分け方

① 連用形または語幹に付く→ 様態(~のようすだ)

② 終止形に付く→ 伝聞(~と聞いた)

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練習問題

問題1

次の各文中の下線部の意味が(ア)様態と(イ)伝聞のいずれであるかを記号で答えなさい。

(1) 新潟は雨が降っているそうだ。

(2) 彼は、不安そうなようすだった。

(3) 社長がタイへ旅行されるそうだ。

(4) よい結果を得られそうだ。

【考え方】

文中の「そうだ」が様態と伝聞のどちらの意味であるかをかんがえるときは、「そうだ」の接続のしかたに注目します。

(1)(3)の「そうだ」の直前の「いる」「れる」はそれぞれ動詞と助動詞ですが、その活用形は終止形か連体形かのいずれかです。

しかし、「そうだ」はいずれの意味であっても連体形には付かないので、ここでは終止形であるとかんがえます。

したがって、(1)(3)の「そうだ」の意味は伝聞となります。

(2)の「そうだ」の直前の「不安」は形容動詞「不安だ」の語幹ですから、それに付く「そうだ」の意味は様態です。

(4)の「そうだ」の直前「られ」は助動詞「られる」の未然形か連用形ですが、「そうだ」はいずれの意味であっても未然形には付きません。

したがって、(4)の「そうだ」の意味は様態です。


【答】

(1) イ

(2) ア

(3) イ

(4) ア

*

問題2

次の各文中の( )に助動詞「そうだ」を適当な形に活用させて入れなさい。

(1) いまにも崩くずれ落ち( )た。

(2) 桜が満開だ( )、私も見に行きたい。

(3) やわらか( )枕まくらだ。

(4) 遅刻ちこくし( )ば、電話しなさい。

【考え方】

「そうだ」は、形容動詞型の活用をする助動詞であって、連用形が三つあります。

(1)は、( )の直後に過去の助動詞「た」があるので、連用形が入ります。この場合は、三つの連用形のうち「そうだっ」の形が当てはまります。

(2)は、( )の直後で文がいったん途切とぎれています。これを中止法といい、連用形の用法です。

また、( )の直前が形容動詞の終止形なので、それに接続する「そうだ」は伝聞の意味になります。

伝聞の「そうだ」の連用形は、「そうで」だけです。

(3)は、( )の直後に名詞(枕)があるので、連体形「そうな」が入ります。

形容動詞型の活用は、動詞や形容詞とちがって、終止形と連体形の形がちがうことに注意してください。

(4)は、( )の直後に助詞「ば」があるので、仮定形「そうなら」が入ります。


【答】

(1) そうだっ

(2) そうで

(3) そうな

(4) そうなら

**

問題3

次の①から④の各文中の下線部が助動詞であるものを選んで、番号で答えなさい。

① そうだ、青森へ行こう。

② うん、そうだよ。

③ 難しそうな本ばかり集めました。

④ 彼は、元気がなさそうだ。

【考え方】

助動詞の「そうだ」は付属語ですから、文節の最初に来ることができません。

したがって、①と②の「そうだ」は、助動詞ではありません。①の「そうだ」は感動詞で、②の「そうだ」は副詞の「そう」に助動詞「だ」が付いた形です。

③は、形容詞「難しい」の語幹に助動詞「そうだ」の連体形が付いた形です。

④の「そうだ」の直前の「なさ」は、形容詞「ない」の語幹「な」に「さ」がついたものです。様態の「そうだ」が形容詞の「ない」に付くときは、このような特殊な形になります。(「よい」に付くときも同様どうようです。)


【答】

③、④

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