■ 助動詞「ます」
(1) 意味
丁寧 … 聞き手へのていねいな気持ち。
(例) 国語の文法を学びます。
(2) 活用
特殊型
未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 仮定形 | 命令形 |
ませ ましょ |
まし | ます | ます | ますれ |
ませ まし |
※ 命令形は、尊敬の意味の動詞だけに付く。
(3) 接続
「ます」は、動詞(および動詞型活用の助動詞)の連用形に付く。
(例) 遊びます 見ます
(例) 学ばせます 見られます
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助動詞「ます」の意味・活用・接続を見ていきましょう。
次の例文を見てください。
国語の 文法を 学びます。
この例文の述語「学びます」は、「学ぶ」という動詞(の連用形)に「ます」という助動詞が付いた形です。
述語に「ます」を付けることによって、単に「学ぶ」というのとくらべて、ていねい(丁寧)な言い方になります。
このように、「ます」は、聞き手(読み手)に対するていねい(丁寧)な気持ちを表す助動詞です。
「ます」のようなことばを丁寧語といいます。丁寧語は、敬語と呼ばれるものの一種です。
なお、丁寧語をつくる助動詞には、「ます」のほかに、「です」があります。
(丁寧語については、「丁寧語」のページを参照してください。)
「ます」は、どのように活用するのでしょうか。
次の例を見てください。
【学びます】
→学びません
→学びましょう
→学びました
→学びます。
→学びますとき
→学びますれば
→学びなさいませ(まし)。
この例の赤字の部分を抜き出して「ます」の活用表をつくると、次のようになります。
【表】「ます」の活用表
基本形 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 仮定形 | 命令形 |
ます |
ませ ましょ |
まし | ます | ます | ますれ |
ませ まし |
続くことば |
ン ウ |
タ |
(言い切る) |
トキ | バ |
(命令して 言い切る) |
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この活用のしかたは、動詞・形容詞・形容動詞のどの活用ともちがう特殊なものです。
未然形と命令形がそれぞれ二つあることにも注意しましょう。
このように、「ます」は、特殊型の活用をする助動詞です。
特殊な活用については、その活用表を覚えるしかありません。
仮定形の「ますれ(ば)」は、日常生活ではあまり聞きなれないことばです。
ふつうは、「学びますれば」という言い方はしないで、「学びましたら」のような言い方をします。(「ましたら」は、「ます」の連用形に助動詞「た」の仮定形がついた形。)
命令形の「まし」を用いることも、ふつうはありません。
*
ひとつ注意点ですが、命令形は「くださる」「なさる」「いらっしゃる」などの特定の動詞にしか付きません。
これらの動詞は、尊敬の意味を含んだことばであり、尊敬語と呼ばれます。
(尊敬語については、「尊敬語」のページを参照してください。)
次の例で確かめてください。
お楽しみ くださいませ(まし)
ご覧 なさいませ(まし)
いらっしゃいませ(まし)
上の例のように、「くださる」「なさる」「いらっしゃる」などの尊敬動詞に「ませ(まし)」が付くとき、それらの動詞はイ音便の形になります。
「ます」は、どのような語のあとに続くのでしょうか。
次の例から考えて見ましょう。
遊び ます
見 ます
食べ ます
来 ます
し ます
学ば せ ます
受け させ ます
しのば れ ます
見 られ ます
遊び たがり ます
上の例の赤字部分は、動詞の連用形と、動詞型の活用をする助動詞「せる・させる・れる・られる・たがる」の連用形です。
このように、「ます」は、すべての動詞と動詞型活用の助動詞の連用形に付きます。
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次の各文中の( )に助動詞「ます」を活用させて入れなさい。
(1) いっしょに美術館に行き( )んか。
(2) お時間ござい( )ば、ご用意いたします。
(3) すぐ起き( )ので、少し寝させてください。
(4) ご自愛ください( )。
【考え方】
「ます」の活用表を覚えたうえで、文中にどの活用形があるかを探します。
活用形のなかには同じ形のものもありますが、どのような語が続くかによって判断してください。
(1)の文中の「ませ」は、「ん」が続いています。
「ます」には未然形が二つありますが、「ませ」には助動詞「ん(ぬ)」が続き、「ましょ」には助動詞「う」が続きます。
(2)の文中の「ますれ」は仮定形、文末の「ます」は言い切っているので終止形です。
(3)の「ます」は、「ので」が連体形に付く助詞であることを知っていれば、連体形であることがわかります。
そのような知識がなくても、形容動詞(たとえば、「おだやかだ」)が「ので」に付くときにどのような活用形になるかをかんがえれば、「ので」がどの活用形に付くかがわかります。「おだやかなので」→連体形。
(4)の文末の「ませ」は未然形と同じ形ですが、言い切っているから命令形だとわかります。
【答】
(1) 未然形
(2) 仮定形・終止形
(3) 連体形
(4) 命令形
*
次の各文を、助動詞「ます」を用いて、ていねいな言い方にしなさい。
(1) いっしょに食事をしよう。
(2) 終日、雨が止まなかった。
(3) その交差点を右に入ると、郵便局がある。
【考え方】
ていねいな言い方にするためには、述語の文節を「ます」を用いた形に改めます。
(1)について。
述語「しよう」は、動詞「する」の未然形「し」に助動詞「よう」の終止形が付いた形です。
「しよう」→「する」+「よう」
これに「ます」を加えて述語の文節をつくりますが、その際、「よう」は「ます」に接続しないので、代わりに「う」を用います。
「する」+「ます」+「う」→「しましょう」
(2)について。
述語「止まなかった」は、動詞「止む」の未然形「止ま」に、助動詞「ない」の連用形「なかっ」と、助動詞「た」の終止形が付いた形です。
「止まなかった」→「止む」+「ない」+「た」
これに「ます」を加えて述語の文節をつくりますが、その際、「ない」は「ます」に接続しないので、代わりに助動詞「ぬ(ん)」を用います。
「止む」+「ます」+「ぬ(ん)」→「止みませぬ(ん)」
また、「た」は「ぬ(ん)」に接続しないので、「ぬ(ん)」と「た」のあいだに助動詞「です」を入れてうまくつなげましょう。
「止みませぬ(ん)」+「です」+「た」→「止みませんでした」
(3)について。
述語の文節が「入ると」と「ある」の二つあることに注意してください。
それぞれの文節に「ます」を加えてもよいですが、「入ると」をそのままにして文末の述語「ある」に「ます」を付け加えるだけでも、文全体がていねいな言い方になります。
【答】
(1) いっしょに食事をしましょう。
(2) 終日、雨がやみませんでした。
(3) その交差点を左に入りますと(入ると)、郵便局があります。