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助動詞(4)「ない・ぬ(ん)」

助動詞「ない」「ぬ(ん)」の意味・活用・接続について見ていきましょう。「ない」と「ぬ(ん)」は、それぞれ活用のしかたがちがいます。

▼ 「ない」「ぬ(ん)」の意味

助動詞「ない」「ぬ(ん)」の意味をみてみましょう。

次の例文を見てください。

● 廊下ろうかを 走ら ない 。

● 雨に 負け (負け  )。

例文中の「走らない」は、「走る」ということに対してそうではない、そうしないという意味をあらわしています。同じように、「負けぬ(負けん)」は、「負ける」ということに対してそうしないという意味です。

このように、ある動作などに対してそうではないとあらわすこと打ち消う けと言います。「ない」「ぬ(ん)」は、打ち消しをあらわす助動詞です。打ち消しを否定と言うこともあります。

ここでちょっと補足です。次の例を見てください。

● お風呂に 入ら  、寝る。

● 宿題を やら  ば ならない。

例文中の赤字の「ず」と「ね」は、一見ここで扱っている打ち消しの助動詞と関係のないことばのように思うかもしれません。ですが、実はこの「ず」と「ね」は、「ぬ(ん)」なのです。

どういうことかといいますと、「ぬ(ん)」は助動詞です。助動詞は活用しますから、「ぬ(ん)」も活用します。そして、その活用した形が「ず」や「ね」なのです。くわしくは、次の項目で勉強してください。

★ まとめ ★

【助動詞「ない」「ぬ(ん)」の意味】

○ 「ない」「ぬ(ん)」は、打ち消しをあらわす。

▼ 「ない」「ぬ(ん)」の活用

助動詞は、活用する語です。「ない」「ぬ(ん)」も助動詞ですから、活用します。それでは、「ない」「ぬ(ん)」がどのように活用するのかをみていきましょう。

(1) 「ない」の活用

まずは、「ない」の活用からです。次の例を見てください。

● 知ら ない 。 → 知らなかろう 知らなかった 知らなくなる 知らないとき 知らなけれ

この例の赤字の部分だけを抜き出して、「ない」の活用表をつくってみましょう。助動詞にも、活用形の種類があります。

【表】助動詞「ない」の活用表

基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
ない なかろ

なかっ

な く

ない ない なけれ
続くことば

ナル

(言い切る)

トキ  

★スマートフォンの方は、横にスクロールさせてください。

この活用表を見て、同じような活用のしかたを前に見た記憶があるかもしれません。そう、この活用のしかたは形容詞のそれと同じです。

「ない」は、形容詞型の活用をする助動詞です。ただ、形容詞と違うのは、語幹と活用語尾の区別をしないことです。

(2) 「ぬ(ん)」の活用

次に「ぬ(ん)」の活用をみていきます。また、例を見ることから始めましょう。

● 泣か (  )。 → 泣か、 泣か)とき 泣かば、

上の項目でも説明しましたが、「ず」「ね」は、「ぬ(ん)」の活用形の一種です。なお、「ぬ」は「ん」に置きかえることができます。

この例の赤字の部分だけを抜き出して、「ぬ(ん)」の活用表をつくってみましょう。

【表】助動詞「ぬ(ん)」の活用表

基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
ぬ(ん) ぬ(ん) ぬ(ん)
続くことば  

(中止法)

(言い切る)

トキ  

★スマートフォンの方は、横にスクロールさせてください。

なんといってよいかわからない活用のしかたですね。動詞、形容詞、形容動詞のいずれの活用とも違います。未然形と命令形がないことにも注意してください。

このように、「ぬ(ん)」は、特殊な活用をする助動詞です。

★ まとめ ★

【助動詞「ない」「ぬ(ん)」の活用】

○ 「ない」は、形容詞型の活用をする。

○ 「ぬ(ん)」は、特殊型の活用をする。

▼ 「ない」「ぬ(ん)」の接続

助動詞は付属語ですから、かならず他の語のあとに続けて用いられます。それでは、「ない」「ぬ(ん)」という助動詞は、どのような語のあとに続くのでしょうか。

次の例をもとにかんがえてみましょう。

【A】 読ま ない/読ま ぬ(ん)  信じ ない/信じ ぬ(ん)  食べ ない/食べ ぬ(ん)   ない/ ぬ(ん)   ない/ ぬ(ん)

【B】 待た  ない/待た  ぬ(ん)  来  させ ない/来 させ ぬ(ん)  買わ  ない/買わ  ぬ(ん)  見 られ ない/見 られ ぬ(ん)  行き たがら ない/行き たがら ぬ(ん)  行き ませ ぬ(ん)

まずはAのグループから。赤字の部分は、すべて動詞です。そして、「読ま」「信じ」「食べ」「来」「し・せ」は、それぞれ五段活用・上一段活用・下一段活用・カ行変格活用・サ行変格活用の未然形です。

このことから、「ない」と「ぬ(ん)」はいずれも、活用の種類を問わず、すべての動詞の未然形につくということがわかります。

ただし、「ない」には例外があります。「あら●●ない」という言い方はしませんね。つまり、「ない」は、動詞の「ある」の未然形(あら)のあとにはつきません。

**

次にBのグループですが、赤字の部分は、すべて助動詞です。「せ」「させ」「れ」「られ」は、それぞれ「せる」「させる」「れる」「られる」「たがる」の未然形です。これらは、動詞型の活用をする助動詞です。「ない」「ぬ(ん)」は、いずれも動詞型活用の助動詞の未然形のあとにつきます

また、「ぬ(ん)」だけは、「ます」の未然形「ませ」にもつきます

★ まとめ ★

【助動詞「ない」「ぬ(ん)」の接続】

○ 「ない」「ぬ(ん)」は、動詞および動詞型活用の助動詞の未然形に接続する。

○ 「ぬ(ん)」は、「ます」の未然形(ませ)にも接続する。

▼ 練習問題で理解度チェック

【問題1】

次の各文の中から、下線部の「ない」が助動詞であるものを選び、番号で答えなさい。

① 野菜が食べられない

② カエルは、ほ乳類にゅうるいではない

③ このコートを着ると、寒くない

④ お弁当を半分も残すのはもったいない

【正解】

【解説】

「ない」は、かならずしも助動詞であるとはかぎりません。形容詞の「ない」もあるので、区別しなければいけません。「ない」を「ぬ(ん)」に置きかえることができれば、「ない」は助動詞です。これに対して、「ない」の直前に「は」「も」などを入れることができれば、「ない」は形容詞(補助形容詞)です。

①の「ない」は、「ぬ(ん)」に置きかえても文が成り立つので、助動詞です。②の「ない」は、直前に助詞の「は」があるので、形容詞です。③も「ない」の直前に「は」を挿入することができるので、形容詞です。④は、「ない」を「ぬ(ん)」に置きかえることも、直前に「は」などを挿入することもできません。実は、「もったいない」で一語の形容詞です。④の「ない」は、形容詞の一部分だったのですね。

【問題2】

次の各文中から助動詞「ない」を探し出して、その活用形を答えなさい。

(1) それは最初から存在しなかった。

(2) 考え事をして眠れなくなる。

(3) 働かなければ、収入がない。

(4) 君が来ないので、ずっと待っていた。

【正解】

(1) 連用形  (2) 連用形  (3) 仮定形  (4) 連体形

【解説】

助動詞「ない」は、形容詞型の活用をします。形容詞の活用のしかたを覚えていれば、問題を解くことができます。その際、それぞれの活用形のあとに続くことばといっしょに覚えましょう。

(1)の「なかっ(た)」と(2)の「なく(なる)」は、ともに「ない」の連用形です。「た」がつくのは「なかっ」という形ですが、「なる」がつくのは「なく」という形です。(3)の「なけれ(ば)」は、すぐに仮定形だとわかります。(4)については、「ない(ので)」が終止形か連体形かのどちらであるのかと迷うかもしれません。「ので」が活用語の連体形につく助詞であることを知っていれば、連体形であるとわかります。

ちなみに、(3)の「(収入が)ない」は形容詞です。「は」や「も」を挿入できないじゃないかと思われたかもしれませんが、この場合の「ない」は補助形容詞ではありません。自立語であることがわかれば、助動詞の「ない」と区別することができます。

**

【問題3】

次の各文中から助動詞「ぬ(ん)」を探し出して、その活用形を答えなさい。

(1) 仕事を終わらせねばならない。

(2) 眠くて勉強ができません。

(3) かなわぬ恋心を抱いてしまった。

(4) 部屋から一歩も出ず、読書にふける。

【正解】

(1) 仮定形  (2) 終止形  (3) 連体形  (4) 連用形

【解説】

助動詞「ぬ(ん)」は特殊な活用をしますので、この問題を解くには活用のしかたを覚えておく必要があります。(1)の「ね(ば)」は仮定形、(4)の「ず」は連用形であるとわかります。(2)の「ん」は文末にあるので終止形、(3)の「ぬ」は名詞(恋心)が続いているので連体形です。

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