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助動詞(9)「そうだ」

助動詞「そうだ」の意味・活用・接続について見ていきましょう。「そうだ」には、様態と伝聞の二つの意味があって、それぞれ接続のしかたがちがいます。

▼ 「そうだ」をマスターしよう

助動詞の「そうだ」の意味を勉強していきましょう。

「そうだ」には、次の二つの意味があります。

(1) 様態ようたい

次の例を見てください。

● あの人は 元気 そうだ 。

「元気そうだ」は、元気なようすだ、という意味です。「元気だ」と断定するのではなく、「元気そうなようすだ」というふうに、少しゆるめた言い方ですね。

もっとくわしく言うと、「元気そうだ」は、話し手が自分で「あの人」に会ったり話したりして、元気であると思われる・感じられるという意味をあらわしています。他人からあの人は元気だと知らされた、というのではありません。

このように、自分で見聞きしてそういうようすであると判断すること様態と言います。「そうだ」の一つめの意味は、様態です。

(2) 伝聞でんぶん

それでは、次の例はどうでしょうか。

● あの人は 元気だ そうだ 。

一見、(1)の例文と同じに見えますが、微妙にちがっています。「元気そうだ」と、一字多く入っていますね。こうすると、意味が少し変わってきます。

「元気そうだ」のほうは、自分でようすをたしかめて元気だと思ったというニュアンスをふくんでいます。これに対して、「元気だそうだ」のほうは、自分でたしかめてそう思ったというニュアンスはありません。他人から、あの人は元気だという話を聞いたという意味になります。

他人からそのように聞いたという意味を伝聞と言います。「そうだ」の二つめの意味は、伝聞です。

ちなみに、「元気そうだ」と「元気だそうだ」を文法的にみると、どういう違いがあるのでしょうか。結論を言いますと、「元気(そうだ)」は形容動詞「元気だ」の語幹であり、「元気だ(そうだ)」は終止形です。「そうだ」は、意味によって接続のしかたが異なるのですね。くわしくは、あとで述べます。

★ まとめ ★

【助動詞「そうだ」の意味】

① 様態 (自分で見聞きしてそう思う・感じる)

② 伝聞 (他人からそう聞く)

▼ 「そうだ」の活用

助動詞は、活用する語です。「そうだ」も助動詞ですから、活用します。それでは、どのように活用するのでしょうか。

(1) 様態の「そうだ」の活用

まずは、次の例から考えてみましょう。

● 燃え そうだ → 燃えそうだろう 燃えそうだった 燃えそうである 燃えそうになる 燃えそうなとき 燃えそうなら(ば)

この例の赤字の部分だけを抜き出して、「そうだ」の活用表をつくってみましょう。助動詞にも、活用形の種類があります。

【表】様態の助動詞「そうだ」の活用表

基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形

そうだ

(様態)

そうだろ

そうだっ

そうで

そうに

そうだ そうな そうなら
続くことば

アル

ナル

(言い切る)

トキ (バ)  

★スマートフォンの方は、横にスクロールさせてください。

この活用のしかたは、なにかに似ていませんか。形容動詞の活用のしかたを覚えていますでしょうか。「そうだ」は、語幹と活用語尾の区別がないことを除けば、形容動詞と同じような活用のしかたをしています。

「そうだ」は、形容動詞型の活用をする助動詞です

**

仮定形の「そうなら」は、「」がつくこともありますが、「ば」をつけずにそのままのかたちで用いることもできます。活用表でバを丸かっこで囲んであるのはそういう意味です。

***

ところで、上の例ですが、「燃えそうだ」の「そうだ」はどういう意味でしょうか。「そうだ」には、様態(~と思う)と伝聞(~と聞いた)の二つの意味があることを説明しましたが、この場合は様態です。実は、未然形から仮定形までの活用があるのは、この様態の「そうだ」だけです

(2) 伝聞の「そうだ」の活用

それでは、伝聞の「そうだ」の活用例を見てみましょう。

● 燃える そうだ → 燃えるそうである

伝聞の「そうだ」の活用例はこれだけです。一応、活用表にしてみましょう。

【表】伝聞の助動詞「そうだ」の活用表

基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形

そうだ

(伝聞)

そうで

そうだ
続くことば   アル

(言い切る)

     

★スマートフォンの方は、横にスクロールさせてください。

様態の「そうだ」の活用表とくらべますと、連用形「そうで」と終止形だけしかありません。それでも、一応、様態の「そうだ」とセットにして形容動詞型の活用であると覚えておきましょう。

★ まとめ ★

【助動詞「そうだ」の活用】

○ 「そうだ」は、形容動詞型の活用をする。

* 伝聞の「そうだ」は、連用形「そうで」と終止形しかない。

▼ 「そうだ」の接続

助動詞は付属語ですから、かならず他の語のあとに続けて用いられます。それでは、「そうだ」という助動詞は、どのような語のあとに続くのでしょうか。

「そうだ」は、その意味によって接続のしかた(直前にくる語の形)が異なります。様態と伝聞の二つの意味がそれぞれどのような接続をするのかをみていきましょう。

(1) 様態の「そうだ」の接続

まずは、様態の「そうだ」の例です。

【A】 眠り そうだ  聞か  そうだ  見 させ そうだ  聞か  そうだ  見 られ そうだ

【B】 楽し そうだ  元気 そうだ  知ら  そうだ  聞き  そうだ

まず、Aのグループから見ていきます。「眠り(そうだ)」は、動詞の連用形です。上の例では動詞に「そうだ」が直接につく例はこれだけですが、様態の「そうだ」はすべての動詞の連用形のあとに続けて用いることができます。

Aのグループのそのほかの赤字部分「せ」「させ」「れ」「られ」は、それぞれ助動詞「せる」「させる」「れる」「られる」の連用形です。様態の「そうだ」を助動詞せる」「させる」「れる」「られる」のあとに続けて用いるときは、これらの連用形につくかたちになります。

**

さて、つぎはBのグループです。「楽し(そうだ)」「元気(そうだ)」は、それぞれ形容詞「楽しい」と形容動詞「元気だ」であろうことは予想がつきますが、形容詞や形容動詞にこういう活用形はありません。実は、これらは形容詞・形容動詞の語幹「楽し」「元気」です。このように、様態の「そうだ」は、形容詞および形容動詞の語幹につくことがあります。

「知ら-な(そうだ)」の「な」、「聞き-た(そうだ)」の「た」はどうでしょうか。これらは、それぞれ助動詞「ない」「たい」の一部分です。「ない」「たい」の活用によって変化しない部分、つまり用言の活用でいうところの語幹にあたる部分が「な」「た」です。このように、様態の「そうだ」は、「ない」「たい」の語幹にあたる部分「な」「た」につくこともあります。

(2) 伝聞の「そうだ」の接続

つぎは、伝聞の「そうだ」の例です。

● 眠る そうだ  楽しい そうだ  元気だ そうだ  学ば せる そうだ  行か れる そうだ  知ら ない そうだ  知り たい そうだ  本当  そうだ  読ん  そうだ  …

「眠る(そうだ)」「楽しい(そうだ)」「元気だ(そうだ)」は、それぞれ動詞・形容詞・形容動詞の終止形です。伝聞の「そうだ」は、用言(動詞・形容詞・形容動詞)の終止形のあとに続けて用いることができます。

残りの例の「せる」「れる」「ない」「たい」「だ」「だ(た)」は、すべて助動詞の終止形です。伝聞の「そうだ」は、例にあげたほかにも、助動詞「させる」「られる」「たがる」「ぬ(ん)」の終止形にもつくことがあります。このように、伝聞の「そうだ」は、多くの助動詞の終止形のあとに続けて用いることもできます。

★ まとめ ★

【助動詞「そうだ」の接続】

○ 様態の「そうだ」

① 動詞および助動詞「せる」「させる」「れる」「られる」の連用形に接続する。

② 形容詞・形容動詞の語幹、および、助動詞「ない」「たい」の語幹にあたる部分「な」「た」に接続する。

○ 伝聞の「そうだ」

① 用言(動詞・形容詞・形容動詞)の終止形に接続する。

② 多くの助動詞の終止形に接続する。

▼ 練習問題で理解度チェック

【問題1】

次の各文中の下線部の意味が(ア)様態と(イ)伝聞のいずれであるかを記号で答えなさい。

(1) 新潟は雨が降っているそうだ

(2) 彼は、不安そうなようすだった。

(3) 社長がタイへ旅行されるそうだ

(4) よい結果を得られそうだ

【正解】

(1) イ  (2) ア  (3) イ  (4) ア

【解説】

「そうだ」には様態と伝聞の二つの意味がありますが、それぞれの意味で接続のしかたがちがいます。したがって、様態と伝聞のどちらの意味かをかんがえるときは、「そうだ」の接続のしかたから判断します。

(1)の「いる」は動詞の終止形で、(3)の「れる」は助動詞の終止形です。これらに接続することができるのは伝聞の「そうだ」です。(2)の「不安」は形容動詞「不安だ」の語幹で、(4)の「られ」は助動詞「られる」の連用形です。これらに接続することができるのは様態の「そうだ」です。

【問題2】

次の各文中から助動詞「そうだ」を探し出して、その活用形を答えなさい。

(1) いまにもくずれ落ちそうだった。

(2) 桜が満開だそうで、私も行きたい。

(3) やわらかそうな枕だ。

(4) 遅刻しそうなら、電話しなさい。

【正解】

(1) 連用形  (2) 連用形  (3) 連体形  (4) 仮定形

【解説】

「そうだ」は形容動詞型の活用をしますから、形容動詞の活用のしかたを覚えていれば、「そうだ」の活用のしかたもわかります。

(1)の「そうだっ(た)」と、(2)の「そうで(、)」は、どちらも「そうだ」の連用形です。様態の「そうだ」の連用形は三つありますが、伝聞の「そうだ」は一つだけです。(3)の「そうな」は、連体形です。形容動詞型の活用は、終止形と連体形のかたちがちがうことに注意してください。(4)の「そうなら(、)」は、仮定形です。「そうならば、」と言うこともできます。

**

【問題3】

次の①から④の各文中の下線部が助動詞であるものを番号で答えなさい。

① そうだ、青森へ行こう。

② うん、そうだよ。

③ こわれそうな物ばかり集めました。

④ 彼は、元気がなさそうだ

【正解】

③、④

【解説】

まず、「そうだ」は助動詞ですから、付属語であって自立語ではありません。つまり、文節の最初にくることができません。したがって、①と②は、助動詞ではありません。①の「そうだ」は感動詞で、②は副詞の「そう」に助動詞「だ」がついた形です。

③は動詞「こわれる」の連用形に助動詞「そうだ」の連体形が接続した形です。④はどうでしょうか。「そうだ」の直前の「なさ」が一体なんなのかわかりませんね。実は、これは、形容詞「ない」の語幹「な」に「さ」がついたものです。様態の「そうだ」が形容詞「ない」に接続するときは、このような特殊なかたちになります。形容詞「よい」につく場合も同じように、「よそうだ」のかたちになります。

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