■ 助詞の性質
助詞は、付属語で活用がない単語である。
① 付属語 … かならず他の語のあとに付く。
(例) 本がある。 心配するな。
② 活用がない単語 … 文中での用法によって形が変化しない。
■ 助詞の働き
助詞には、語と語との関係を表したり、いろいろな意味をそえたりする働きがある。
■ 助詞の種類
助詞は、格助詞・接続助詞・副助詞・終助詞の4種類に分けられる。
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助詞は、品詞の一つです。(品詞については、「単語の分類(3)品詞の分類」のページでくわしく解説しています。)
ここでは、助詞の性質や働き、種類について学びます。
助詞は、付属語で活用がない単語です。少しくわしく見ましょう。
(1) 助詞は付属語である
付属語は、それだけで文節をつくることができず、かならず他の語のあとに付いて文節をつくる単語です。
助詞も、この付属語の仲間ですから、かならず他の語のあとに付いて文節をつくります。
次の例の赤字部分が助詞です。
本 が ある。
急い で 食べる。
心配する な 。
*
助詞が付くのは、名詞や動詞などのような自立語だけであるとはかぎりません。付属語、すなわち助動詞や他の助詞のあとに付く場合もあります。
(自立語と付属語については、「単語の分類(1)自立語と付属語」のページを参照してください。)
今日 は 雨 だ。
歩き ながら、話す。
よかっ た ね。
赤い の が ほしい。
(2) 助詞は活用がない単語である
助詞は、文中での用法(文がそこで切れるか続くか、どんな語がそのあとに続くか)によってその形が変化することがありません。すなわち、助詞は活用がない単語です。
これに対して、同じ付属語である助動詞には活用があります。
つまり、助詞と助動詞とのちがいは、活用があるかないかという点にあります。
(単語の活用については、「単語の分類(2)単語の活用」のページを参照してください。)
助詞は、どのような働きをする単語なのでしょうか。例文を見ながら考えていきましょう。
(1) 語と語との関係を表す
【A】鳥 が ネズミ を 食べる。
【B】鳥 を ネコ が 食べる。
それぞれの例文の赤字部分が助詞です。
Aの文では、「食べる」という動作をするのが「鳥」で、「ネズミ」は食べられるものを表しています。
これに対して、Bの文では、「食べる」という動作をするのが「ネコ」で、「鳥」は食べられるほうになります。
このように、「鳥」「ネズミ/ネコ」「食べる」といった単語の並び順が同じであっても、文中の助詞が入れかわることによって文の意味がかなり変わってきます。
このような意味のちがいは、「が」「を」というそれぞれの助詞の働きのちがいから生じています。
すなわち、「が」はそれが付く語が「食べる」という語の主語であることを表しており、「を」はそれが付く語が「食べる」という語の対象であることを表しています。
以上のように、「が」「を」といった助詞には、語と語との関係を表す働きがあります。
(「が」「を」についてくわしくは、「主な格助詞」のページを参照してください。)
(2) いろいろな意味をそえる
【C】リンゴ を 食べる。
【D】リンゴ も 食べる。
【E】リンゴ を 食べる な 。
それぞれの例文の赤字部分が助詞です。
まず、Cの文とDの文とをくらべてみましょう。
Dの文も、基本的にはCの文と同じ意味を表していますが、まったく同じというわけではありません。
「リンゴも」は、単に「リンゴ」を食べるというだけではなく、「リンゴ」のほかにも何かを食べるという意味を表しています。
次に、Cの文とEの文とをくらべてみます。
Eの文は、文末に「な」が付くことによって、「食べてはいけない」という禁止の意味になっています。
このように、「も」や「な」といった助詞には、いろいろな意味をそえる(付け加える)働きがあることがわかります。
助詞は、その接続や働きなどによっていくつかに分類することができます。
ふつうは、次の4種類に分けられます。
① 格助詞 … 主に体言に付いて、語(文節)と語(文節)との関係を表す。
② 接続助詞 … 主に活用のある語に付いて、前後の文節(連文節)をつなぐ。
③ 副助詞 … いろいろな語に付いて、さまざまな意味をそえる。
④ 終助詞 … 主に文末に付いて、さまざまな意味を表す。
それぞれの種類に分類される助詞の例をあげると、次の表のようになります。
【表】助詞の種類とその例
助詞の種類 | 語例 |
格助詞 |
が の を に へ と より から で や |
接続助詞 |
ば と ても(でも) から ので が けれど(けれども) のに て(で) し ながら たり(だり) なり つつ ものの ところで |
副助詞 |
は も こそ さえ でも だって しか ばかり など まで だけ ほど きり(ぎり) くらい(ぐらい) なり やら か だの なんて ずつ とか すら |
終助詞 |
な(なあ) や よ わ こと な ぞ ぜ とも か の ね(ねえ) さ かしら もの ものか |
※ 表中の太字の語は、同じ形の語。
それぞれの助詞の種類について、これから別々のページでくわしく解説していきます。
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次の各文の中から、助詞を四つずつ抜き出して答えなさい。
(1) 氷が熱で解けると、水になる。
(2) のどが渇いたから、水でも飲もうか。
【考え方】
助詞は、次のような手順で見つけることができます。
① 文全体をいくつかの文節に区分する。
② それぞれの文節を自立語と付属語に区分する。
③ 付属語を活用がある単語(助動詞)と活用がない単語(助詞)に分ける。
ある付属語が助動詞か助詞かを見分けるためには、助動詞や助詞とされる語にはどんなものがあるかをあらかじめ知っておく必要があります。
助動詞となる単語と、助詞となる単語のうち主なものについては覚えましょう。
(1) 文を文節に分けます。
氷が | 熱で | 解けると | 水に | なる
下線を引いた部分が付属語です。
本文にあげた表「助詞の種類とその例」を参考にしながら、助詞と考えられる語の形を見つけましょう。
(2) 文を文節に分けます。
のどが | 渇いたから | 水でも | 飲もうか
下線を引いた部分が付属語です。
「でも」については、1語の「でも」なのか、それとも、「で」と「も」なのか迷いやすいところです。
ここでは、助詞が四つあるという問題の前提から、1語の「でも」であると考えてください。
【答】
(1) が、で、と、に
(2) が、から、でも、か
*
次の各文中の下線部の語はすべて助詞です。それぞれの助詞の種類を次のア~エから選び、記号で答えなさい。
(1) 体は強いが、気が弱い。
(2) もうすぐ夏が終わる。
(3) 約束の時間に間に合うかしら。
(4) 夏休みは、残り二日だけになった。
ア 格助詞
イ 接続助詞
ウ 副助詞
エ 終助詞
【考え方】
助詞には、4種類あります。それぞれの種類に分類される助詞の例を、本文の表「助詞の種類とその例」で確かめましょう。
「が」や「と」のように、同じ形の語であっても、助詞の種類がちがうものもあることに注意してください。
(1)と(2)の「が」は、それぞれ形が同じですが、助詞の種類がちがいます。
(1)の「が」は、活用がある語(形容詞)に付いて前後の文節を結び付けているので、接続助詞です。
それに対して、(2)の「が」は、体言に付いて主語を表しているので、格助詞です。
(3)の「かしら」は終助詞で、文の終わりに付いて疑問を表しています。
(4)の「だけ」は副助詞で、「二日」に付いて限定の意味をそえています。
【答】
(1) イ
(2) ア
(3) エ
(4) ウ