■ 構造上の種類
文は、その構造によって、次のように分類される
① 単文……主語・述語の関係が一つだけある。
(例) 冷たい 雨が はげしく 降りそそいだ 。
② 複文……主語・述語の関係が二つ以上あって、一つ以上が連文節となって文の成分にふくまれる。
(例) 先生が 言った 言葉が 胸に 響いた 。(主部)
③ 重文……主語・述語の関係が二つ以上あって、それらが並立する。
(例) 兄は 高校生で 、妹は 小学生だ 。
■ 意味上の種類
文は、その意味によって、次のように分類される。
① 平叙文……断定・推量・決意などを表す。
(例) あれが私の通う学校 だ 。
② 疑問文……疑問や反語を表す。
(例) どんな 料理が好きです か 。
③ 感動文……感動を表す。
(例) ああ 、すばらしい作品だ ね 。
④ 命令文……命令・禁止・依頼を表す。
(例) 本を 読め 。 くよくよする な 。
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文は、さまざまな種類に分類することができます。
文の分類のしかたには、構造に注目するものと意味(性質)に注目するものとがあります。
それぞれの分類のしかたについて見ていきましょう。
文は、その組み立て(構造)に注目することによって、次の3種類に分けることができます。
(1) 単文
次の例文を見てください。
冷たい 雨が はげしく 降りそそいだ 。
この例文には、主語の文節と述語の文節がそれぞれ一つだけあります。つまり、主語・述語の関係が1回だけ成り立っています。
このように、主語・述語の関係が一つだけある文を単文といいます。
(主語・述語についてくわしくは、「文節の働き(1)主語・述語」のページを参照してください。)
(2) 複文
次の例文を見てください。
先生が 言った 言葉が 胸に 響いた 。(主部)
この例文では、「響いた」という述語の文節に、「言葉が」という主語の文節が係ります。
そして、「言葉が」の文節を「先生が言った」という連文節が修飾して、「先生が言った言葉が」というさらに大きな連文節になり、それが文の成分としての主部になっています。
(連文節・文の成分についてくわしくは、「連文節と文の成分」のページを参照してください。)
「先生が言った」という連文節は、「言った」という述語の文節に「先生が」という主語の文節が係ったものです。
以上を図にして表すと、次のようになります。
【図】複文の構造
この例文では主語・述語の関係が2回成り立っていますが、それぞれの主語・述語の関係は対等の関係ではありません。
「先生が—言った」という主語・述語の関係は、文の成分としての主部にふくまれる連文節にすぎません。
このように、主語・述語の関係が二つ以上あって、一つ以上が連文節となって文の成分にふくまれる文を複文といいます。
上の例文では主語・述語の関係が主部にふくまれていますが、次の例文のように、他の種類の成分にふくまれる場合もあります。
これは 、私の 母が 描いた 絵です 。(述部)
花子は 、太郎が 来るのを 待っている 。(修飾部)
体調が 悪かったので 、太郎は 休んだ 。(接続部)
(3) 重文
次の例文を見てください。
兄は 高校生で 、妹は 小学生だ 。
この例文には、主語の文節と述語の文節とがそれぞれ二つずつあります。
そして、「兄は」(主語)と「高校生で」(述語)、「妹は」(主語)と「小学生だ」(述語)というように、主語・述語の関係が2回成り立っています。
それぞれの主語・述語の関係は、対等に並んで(並立して)います。つまり、順序を入れかえても、文の意味は変わりません。(「妹は小学生で、兄は高校生だ。」になります。)
このように、主語・述語の関係が二つ以上あって、それらが並立している文を重文といいます。
構造上の種類(単文・複文・重文)は、主述関係を基準にして見分ける。
主述関係が一つなら単文、二つ以上なら複文または重文。重文は、主述関係が並立している。
文は、その意味(性質)によって、次の4種類に分けることができます。
(1) 平叙文
平叙文は、断定・推量・決意などを表す文です。疑問文・感動文・命令文のいずれでもないふつうの文がこれにあたります。
平叙文は、次の例文のように、切れる文節が活用語(用言・助動詞)の終止形で終わります。
(切れる文節については、「文節の種類」のページを参照してください。)
あれが私の通う学校 だ 。(断定)
妹は、もうすぐ帰ってくるだろ う 。(推量)
いっしょにご飯を食べ よう 。(決意)
(2) 疑問文
疑問文は、疑問や反語を表す文です。
疑問文では、次の例文のように、疑問を表す語(「だれ・いつ・どんな」など)がよく用いられます。
またふつうは、切れる文節が疑問を表す助詞(「か・の」)で終わります。
どんな 料理が好きです か 。(疑問)
ずっと遊んでばかりでよいの か 。(反語)
反語は、話し手の主張と反対のことを疑問の形で述べることによって、話し手の主張を強める効果をねらった表現方法です。
上の例文の「ずっと遊んでばかりでよいのか。」は、遊んでばかりでは決してよくないということが本当に言いたいことです。
反語では、後ろに続くはずの否定の言葉が省略されていると考えるとよいでしょう。
「遊んでばかりでよいのか」のあとに「いや、よくない。」といった言葉が省略されていると考えることができます。
(3) 感動文
感動文は、感動を表す文です。
感動文では、次の例文のように、文のはじめに感動詞(「ああ・おお・まあ」など)が来たり、切れる文節が感動を表す助詞(「な(なあ)・ね(ねえ)」など)で終わったりします。
(感動詞については、「感動詞」のページを参照してください。)
ああ 、この作品はすばらしい。
これは、すばらしい作品だ ね(ねえ)。
(4) 命令文
命令文は、命令・禁止・依頼を表す文です。
命令文は、次の例文のように、切れる文節が活用語(用言・助動詞)の命令形、または、禁止を表す助詞「な」で終わります。
もっと本を 読め 。(命令)
いつまでもくよくよする な 。(禁止)
ぜひ来て ください 。(願望)
尊敬動詞(「くださる」「なさる」など)の命令形は、「ください」「なさい」のように、「ーい」の形になります。
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次の各文が単文・複文・重文のいずれであるかを答えなさい。
(1) 私はお店へ行き、妹は塾へ行きます。
(2) 私は、そこに立っている人に話しかけた。
(3) 雨音は、大勢の人が拍手する音に似ている。
【考え方】
構造上の種類は、主語・述語の関係がいくつ成り立つか、また、それらの関係が並立しているかどうかによって見分けます。
(1) 主語・述語の関係は、前半部分の「私は―行き」と後半部分の「妹は―行きます」との二つです。
また、これらの主語・述語の関係は、入れかえても文の意味が変わりません。つまり、並立しています。
したがって、(1)は重文です。
(2) 主語・述語の関係は、「私は―話しかけた」の一つだけです。したがって、(2)は単文です。
「立っている―人に」は、主語・述語の関係ではないことに注意してください(「立っている」は連体修飾語)。
(3) 主語・述語の関係は、「雨音は―似ている」と「人が―拍手する」との二つです。
そして、「大勢の人が拍手する」は「音に」に係る連文節であって、文の成分(修飾部)にふくまれています。
したがって、(3)は複文です。
【答】
(1) 重文
(2) 単文
(3) 複文
*
次の各文の種類を後から選び、記号で答えなさい。
(1) そんな話をだれが信じるだろうか。
(2) 立派だなあ、きみの心構えは。
(3) この中へ入らないでください。
(4) 花子は、自分の目を疑った。
ア 平叙文
イ 疑問文
ウ 感動文
エ 命令文
【考え方】
意味上の種類を見分けるには、文中の語句や、切れる文節の形に注目します。
(1) 文中に「だれ」という疑問を表す語があり、切れる文節が疑問を表す助詞「か」で終わっています。
したがって、(1)は疑問文です。
なお、文全体の意味からすると、純粋な疑問ではなくて反語を表しています。
(2) この文は、述語が倒置されて文のはじめにきています。ふつうの文に直すと、「きみの心構えは立派だなあ。」になります。
切れる文節が感動を表す助詞「なあ」で終わっているので、(2)は感動文です。
(3) 文の終わりの「ください」は、尊敬動詞「くださる」の命令形です。
したがって、(3)は命令文です。
(4) この文は、疑問文・感動文・命令文のいずれの特徴も持っていません。
したがって、(4)は平叙文です。
【答】
(1) イ
(2) ウ
(3) エ
(4) ア