■ 文節どうしの関係
文節どうしの関係には、次のような種類がある。
① 主語・述語の関係(主・述の関係)
「なにが(だれが)」(主語)と「どうする・どんなだ・なんだ」(述語)との関係。
(例) 花が 咲く 。
② 修飾・被修飾の関係
他の文節をくわしく説明する文節(修飾語)と説明される文節(被修飾語)との関係。
(例) 小さな 花が たくさん 咲く 。
③ 接続の関係
文と文、または、文節と文節をつなぐ働きをする文節(接続語)と、それを受ける部分との関係。
(例) 花が 咲いたから 、虫が集まる。
④ 独立の関係
他の文節と直接的に結びつかずに独立している文節(独立語)と、それ以外の部分との関係。
(例) ああ 、きれいな花だ。
⑤ 並立の関係(対等の関係)
二つ以上の文節が同じ役割で対等に並ぶ関係。つねに連文節になる。
(例) 花や 草木が 生いしげる。
⑥ 補助の関係
主な意味を表す文節と、その直後に付いて補助的な意味をそえる文節(補助語)との関係。つねに連文節になる。
(例) 庭に花が 咲いて いる 。
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文節どうしの関係にはどのような種類があるかを学びましょう。
文はいくつかの文節から成り立っていて、それぞれの文節はたがいに関係しています。
文節どうしの関係のしかたには、次のような種類があります。
(1) 主語・述語の関係(主・述の関係)
「なにが(だれが)」にあたる文節を主語といい、「どうする・どんなだ・なんだ」にあたる文節を述語といいます。
そして、主語と述語とは結びつく関係にあります。つまり、主語は述語に係り、述語は主語を受けます。
(「係る」「受ける」という用語については、「文節の種類」のページを参照してください。)
花が 咲く 。
上の例文の「花が」が「なにが」にあたる文節(主語)であり、「咲く」が「どうする」にあたる文節(述語)です。
そして、「花が」は「咲く」に係っていて、「咲く」は「花が」を受けています。
このような、主語と述語の係り受けの関係を主語・述語の関係(主・述の関係)といいます。
【図】主語・述語の関係
(主語と述語についてくわしくは、「文節の働き(1)主語・述語」のページを参照してください。)
(2) 修飾・被修飾の関係
ほかの文節をくわしく説明する(修飾する)文節を修飾語といい、説明される文節を被修飾語といいます。
修飾語は被修飾語に係り、被修飾語は修飾語を受けるという関係にあります。
小さな 花が たくさん 咲く。
上の例文では、「小さな」と「たくさん」が修飾語であり、「花が」と「咲く」が被修飾語です。(「花が」は主語であり、「咲く」は述語ですが、それぞれ「小さな」「たくさん」に対しては被修飾語になります。)
そして、「小さな」と「花が」が係り受けの関係にあり、「たくさん」と「咲く」が係り受けの関係にあります。
このような、修飾語と被修飾語の係り受けの関係を修飾・被修飾の関係といいます。
(修飾語についてくわしくは、「文節の働き(2)修飾語」のページを参照してください。)
(3) 接続の関係
文と文、または、文節と文節をつなぐ働きをする文節を接続語といいます。
接続語はあとに続く文や文節に係り、あとに続く文や文節は接続語を受けるという関係にあります。
【A】花が咲いた。だから 、虫が集まる 。
【B】花が 咲いたから 、虫が集まる 。
上のAの文の「だから」は接続詞からなる文節で、Bの文の「咲いたから」は接続助詞(から)が付いた文節です。どちらの文節も、接続語です。
そして、「だから」や「咲いたから」は「虫が集まる」の部分に係っていて、「虫が集まる」の部分は「だから」または「咲いたから」を受けています。
このような、接続語と、それを受ける部分との関係を接続の関係といいます。
(接続語についてくわしくは、「文節の働き(3)接続語・独立語」のページを参照してください。)
(4) 独立の関係
ほかの文節と直接の結びつきがなく、文中で独立している文節を独立語といいます。
独立語は、どの文節とも係り受けの関係がありません。
ああ 、きれいな花だ。
上の例文では、「ああ」が独立語です。
「ああ」は、「きれいな」と「花だ」のどちらの文節とも直接には結びついていません。
このような、独立語とそれ以外の部分との関係を独立の関係といいます。
(独立語についてくわしくは、「文節の働き(3)接続語・独立語」のページを参照してください。)
(5) 並立の関係(対等の関係)
次の例文を見てください。
【A】花や 草木が 生いしげる。
【B】草木や 花が 生いしげる。
Aの文の「花や草木が」という部分について、単語の順序を逆にしたものがBの文です。
「花」や「草木」という単語をふくむ文節は、それらの順序を逆にしても、文全体の意味は変わりません。
これは、「花が(花や)」と「草木が(草木や)」という文節が、どちらも「なにが」(主語)を表す文節として対等な関係にあるからです。
このように二つ以上の文節が同じ役割で対等に並んでいるとき、そのような文節どうしの関係を並立の関係あるいは対等の関係といいます。(並立の関係にあるそれぞれの文節を並立語といいます。)
並立の関係にある文節は、それらの内容を入れかえても、文の意味が変わりません。
なお、並立の関係にある文節どうしは、つねにまとまって一つの文節のような働きをします。つまり、連文節になります。
(6) 補助の関係
次の例文を見てください。
庭に 花が 咲いて いる 。
上の例文では、「いる」という文節が、その直前の「咲いて」という文節に対して「今も続いている」という意味をそえています。
この場合、「咲いて」が表す意味が主なものであり、「いる」がそえる意味は補助的なものです。
「いる」のように、主な意味を表す文節のすぐ後ろに付いて補助的な意味をそえる働きをする文節を補助語といいます。
そして、主な意味を表す文節(被補助語)と補助語との関係を補助の関係といいます。
補助の関係では、補助語は被補助語のあとにきます。修飾・被修飾の関係では修飾語が被修飾語の前に来ますが、これとは逆であることに注意しましょう。
補助の関係にある文節どうしは、つねにまとまって一つの文節のような働きをします。つまり、連文節になります。
なお、補助語となることができるのは補助用言(補助動詞・補助形容詞)をふくむ文節です。これについては、「補助用言」のページを参照してください。
*
最後に文節どうしの関係の種類を表にしてまとめます。
【表】文節どうしの関係
文節どうしの関係 | 例 |
主語・述語の関係 | 花が 咲く 。 |
修飾・被修飾の関係 | 小さい 花が たくさん 咲く 。 |
接続の関係 | 花が 咲いたから 、虫が集まる。 |
独立の関係 | ああ 、きれいな花だ。 |
並立の関係 | 花や 草木が 生いしげる。 |
補助の関係 | 庭に花が 咲いて いる 。 |
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次の各文中の下線部の文節がどのような関係にあるかを後から選び、記号で答えなさい。
(1) 今日の夕飯は、豆腐と 納豆です。
(2) 私は、疲れたから、休憩します。
(3) 宿題が 多くて、今日は遊べないよ。
(4) 図書館へ本を 返しに行きます。
(5) 君が来ないと、楽しく ない。
(6) はい、そうです。
ア 主語・述語の関係
イ 修飾・被修飾の関係
ウ 接続の関係
エ 独立の関係
オ 並立の関係
カ 補助の関係
【考え方】
6種類ある文節どうしの関係の特徴を正しく理解します。
そのうえで、問題各文の文節の関係がどの種類に当てはまるかを考えましょう。
(1) 「豆腐と」と「納豆です」とは、「夕飯は」という主語を受ける述語としての役割でたがいに対等な関係にあります。
(2) 「疲れたから」の「から」は接続助詞で、「疲れたから」と「休憩します」とを順接の意味でつないでいます。
(3) 「宿題が」は「なにが」にあたる文節(主語)で、「多くて」は「どんなだ」にあたる文節(述語)です。
(4) 「本を」という文節は、「返しに」という文節について、何を返すのか(対象)を説明しています(修飾語)。
(5) 「ない」は補助形容詞で、直前の「楽しく」に補助的な意味(否定)をそえています。
(6) 「はい」という返答は、あとの「そうです」と直接の結びつきはありません。つまり、独立語です。
【答】
(1) オ
(2) ウ
(3) ア
(4) イ
(5) カ
(6) エ
*
次の各文から、並立の関係にある文節を二つずつ抜き出して答えなさい。
(1) 昼でも夜でも静かな所に住みたい。
(2) 温かくて柔らかい布団で眠りたい。
(3) 自動ドアが開いたり閉じたりする。
【考え方】
並立の関係にある文節どうしは、その内容を入れかえることができます。
(1) 「昼でも夜でも」を入れかえて「夜でも昼でも」としても、文の意味は変わりません。
したがって、「昼でも」と「夜でも」とは並立の関係にあります。
(2) 「温かくて柔らかい」を入れかえて「柔らかくて温かい」としても、文の意味は変わりません。
したがって、「温かくて」と「柔らかい」とは並立の関係にあります。
(3) 「開いたり閉じたり」を入れかえて「閉じたり開いたり」としても、文の意味は変わりません。
したがって、「開いたり」と「閉じたり」とは並立の関係にあります。
【答】
(1) 昼でも―夜でも
(2) 温かくて―柔らかい
(3) 開いたり―閉じたり
**
次の各文から、補助の関係にある文節を二つずつ抜き出して答えなさい。
(1) 貯めておいたお金で本を買った。
(2) 教えてもらったけれど、もう忘れた。
(3) 鳥は、恐竜の子孫である。
【考え方】
補助の関係は、補助用言を手がかりにしてさがします。補助用言がどれかを見分けられるようにしましょう。
補助用言の種類については、「補助用言」のページを参考にしてください。
(1) 「おいた」は、補助動詞の「おく」をふくむ文節(補助語)です。直前の「貯めて」と補助の関係にあります。
(2) 「もらった」は、補助動詞の「もらう」をふくむ文節(補助語)です。直前の「教えて」と補助の関係にあります。
(3) 「ある」は、補助動詞からなる文節(補助語)です。直前の「子孫で」と補助の関係にあります。
【答】
(1) 貯めて―おいた
(2) 教えて―もらった
(3) 子孫で―ある