■ 文節の働き
文節は、文中で主語・述語・修飾語・接続語・独立語といった働きをする。
(例) 鳥が 鳴く。
(例) ゆっくり 歩く。
(例) 安いのに、うまい。
(例) さあ、やろう。
■ 主語と述語
花が 咲く。
① 主語 …「何が(だれが)」に当たる文節。省略されることがある。
② 述語 …「どうする・どんなだ・何だ」に当たる文節。ふつう文の終わりにくる(例外は倒置文)。
③ 主語・述語の関係は、文の骨格となる。
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文節のいろいろな働きについて見ていきます。
まずは、主語と述語という文節の働きについて見てみましょう。
文は、文節とよばれる単位に分けることができます(「言葉の単位」のページを参照)。
文節は文を組み立てている基本的な部分であって、文はさまざまな働きをする文節が組み合わさってできています。
正確に言うと、直接に文を組み立てている部分は文の成分であって文節ではありません。
文の成分は、一つの文節からなることもあれば、二つ以上の文節からなることもあります。
くわしくは、「文の成分」のページを参考にしてください。
文節は、文中で主語・述語・修飾語・接続語・独立語といった働きをします。
次の表は、これら五つの文節の働きの例です。
【表】文節の働きの種類
文節の働き | 例 |
主語・述語 | 鳥が 鳴く。 |
修飾語 | ゆっくり 歩く。 |
接続語 | 安いのに、うまい。 |
独立語 | さあ、やろう。 |
なお、文節の働きには、以上のほかにも、並立語や補助語といった働きもあります。
ですが、まずは上の五つの種類の働きをしっかりと理解しましょう。
(並立語や補助語については、「文節どうしの関係」のページを参照してください。)
このページでは、さまざまな文節の働きの種類の中から、主語と述語という働きを取り上げます。
それ以外の文節の働きについては、ページを改めて説明します。
文は、基本的に、「何が(だれが)」に当たる部分と、「どうする」や「どんなだ」「何だ」に当たる部分とから成り立っています。
次の図を見てください。
【図】主語と述語
このように、文はふつう、まず「何が」に当たる文節が先にきて、それに対応するかたちで、「どうする」「どんなだ」「何だ」に当たる文節が後に続きます。
前者の文節が主語で、後者の文節が述語です。
(1) 主語
「何が(だれが)」に当たる文節を主語とよびます。
主語は、文の主題や動作の主体をあらわす働きをします。
上の図では、【―が】の形の文節が主語になっていますが、主語になるのはそれだけではありません。
【―が】のほかにも、【―は】【―も】などさまざまな形の文節が主語になります。
木星は、ガスで できた 惑星です。
土星も、そうです。
また、日本語の文では、主語が省略されることがめずらしくありません。次の例文で確認してください。
いつか 火星に 行って みたい。(主語の省略)
(2) 述語
「どうする」「どんなだ」「何だ」に当たる文節を述語とよびます。
述語は、主語について説明する働きをします。
述語(文全体の述語)は、文の終わり(文末)にくることがふつうです。
しかし、かならずしも文の終わりにくるとはかぎりません。
次の例文のように述語が主語などの前にくることもあり、このような表現を倒置といいます。
寒いですね、この 部屋は。(主語の前)
この 部屋は 寒いです、とても。(修飾語の前)
(3) 主語・述語の関係
主語の文節と述語の文節との間には、主語は述語にかかり、述語は主語を受けるという関係があります。
このような文節どうしの関係を主語・述語の関係といいます。
主語・述語の関係は、文の骨格です。
つまり、文の成り立ちを知るためには、まず第一にその文の主語・述語となる文節はどれかをかんがえる必要があります。
(4) 主語・述語の見つけ方
ある文の中から主語と述語を見つけるには、次のような手順で行うとよいでしょう。
主語・述語は、次の手順で見つける。
① 文を文節に分ける。
② 文末に着目して述語を見つける。
③ その述語に対応する主語をさがし出す。
次の例文をつかって、実際に主語と述語を見つけてみましょう。
これが 私が 飼って いる 猫だ。
① まず、この文を文節に分けます。
これが|私が|飼って|いる|猫だ。
② そして、述語の文節は文末にくることが多いので、「どうする」「どんなだ」「何だ」「ある・いる」に当たる文節を文末から見つけましょう。
例文の述語(文全体の述語)は、「何だ」に当たる文節「猫だ」です。
③ 最後に、見つけた述語に対応する主語をさがします。
述語「猫だ」とつながりそうな主語として、「これが」と「私が」の二つの文節がかんがえられます。
このように主語の候補となる文節がいくつかある場合には、文全体の意味を考えてもっとも適当なものを選びましょう。
「猫だ」に対する主語を「私が」としてとらえると、「私が猫だ」という意味の文になってしまい変です。
したがって、「猫だ」に対する主語は「これが」であるとわかります。(「私が」は、「飼っている」にかかります。)
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次の各文中の下線を引いた文節が、(ア)「どうする」、(イ)「どんなだ」、(ウ)「何だ」のいずれに当たる文節であるかを記号で答えなさい。
(1) 妹は、料理がとても得意だ。
(2) どこかで見たことがある風景だった。
(3) 私は、驚いて空を見る。
(4) 日曜日の朝は、駅に行く人が少ない。
【考え方】
述語に当たる文節には、「どうする」「どんなだ」「何だ」の三つの型があります。
「どうする」は、「書く」「泳ぐ」「減る」「変わる」などのように動作や作用をあらわす語(動詞)からなる文節です。
「どんなだ」は、「丸い」「楽しい」「きれいだ」などのように性質や状態をあらわす語(形容詞・形容動詞)からなる文節です。
「何だ」は、「先生だ」「公園だ」「祭りだ」「本当だ」などのように人・場所・物事などをあらわす語(名詞)からなる文節です。
動詞・形容詞・形容動詞・名詞については、「単語の分類(3)品詞の分類」を参考にしてください。
(1)の「得意だ」は、性質・状態をあらわす語(形容動詞)です。
したがって、「得意だ」は「どんなだ」に当たる文節です。「何だ」に当たる文節ではありません。
(2)の「風景だった」の「風景」は、物事をあらわす語(名詞)です。
したがって、「風景だった」は「何だ」に当たる文節です。
(3)の「見る」は、動作をあらわす語(動詞)です。
したがって、「見る」は「どうする」に当たる文節です。
(4)の「少ない」は、状態をあらわす語(形容詞)です。
したがって、「少ない」は「どんなだ」に当たる文節です。
【答】
(1) イ
(2) ウ
(3) ア
(4) イ
*
次の各文中から主語と述語にあたる文節を抜き出して答えなさい。主語にあたる文節がない場合は、「なし」と答えなさい。
(1) 誰も僕の言うことを信じない。
(2) あの映画のファンが続編を待ち望んでいる。
(3) ああ、きれいだなあ、あの人は。
(4) 山道を登りながら、こう考えた。
【考え方】
文中から主語と述語を見つけるには、①文を文節に分け、②文末から述語を見つけて、③その述語に対応する主語をさがし出すという手順をとります。
(1) 誰も、|僕の|言う|ことを|信じない。
主語は、必ずしも「が」のつく形の文節であるとはかぎりません。「は」「も」「さえ」「こそ」などがつく形の文節でも主語になることができます。
(1)の文では、まず、文末にある「信じない」の文節が述語であるとわかります。
次に、「信じない」に対応する文中の主語をかんがえましょう。
(2) あの|映画の|ファンが|続編を|待ち望んで|いる。
文末の「待ち望んでいる」は、二つの文節に分けることができます。
そうすると、「いる」が述語になりますが、それだけだと意味がはっきりしません。
そこで、このような場合には、二つの文節をまとめて述語としてかんがえましょう。
本問では、「待ち望んで」と「いる」とを合わせて一つの述語であるとかんがえます。
ちなみに、この「いる」のような語を補助用言とよびます。補助用言については、「補助用言」のページを参考にしてください。
(3) ああ、|きれいだなあ、|あの|人は。
これは、倒置の文です。
倒置の文の場合には、まず語順をふつうの順に並べ替えてからかんがえるとよいでしょう。
「ああ、|あの|人は|きれいだなあ。」となります。「きれいだなあ」が述語です。
(4) 山道を|登りながら、|こう|考えた。
この文の述語は「考えた」ですが、それに対応する主語は文中に見当たりません。
日本語の文では、このように主語が省略されている場合がよくあります。とくに会話文では多く省略されます。
【答】
(1) (主語)誰も (述語)信じない
(2) (主語)ファンが (述語)待ち望んでいる
(3) (主語)人は (述語)きれいだなあ
(4) (主語)なし (述語)考えた