■ 副詞の性質
副詞……活用がない自立語で、主に用言を修飾する。
(例) ゆっくり食べる。 とても暖かい。
■ 副詞の働き
副詞は、単独で用言・体言などを修飾する。
① 連用修飾語になる
(例) しばらく続く。 かなり急だ。
② 連体修飾語になる
(例) もっと先だ。
③ 他の副詞や連体詞を修飾する
(例) もっとゆっくり歩こう。
(例) かなり大きな音がした。
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副詞は、主に用言を修飾する(連用修飾語になる)単語です。➡文節の働き(2)修飾語
ご飯を ゆっくり 食べる 。
今日は、とても 暖かい 。
国語が すこし 得意だ 。
連用修飾語になる自立語は、副詞だけとはかぎりません。
次の例のように、副詞のほかに、名詞・形容詞・形容動詞・動詞も連用修飾語になることがあります。
・バラが たくさん 咲いた。(副詞)
・バラが きのう 咲いた。(名詞)
・バラが 美しく 咲いた。(形容詞)
・バラが きれいに 咲いた。(形容動詞)
・バラが 誇るように 咲いた。(動詞+助動詞)
*
副詞は、活用がない自立語である点で名詞と同じです。
(自立語については「単語の分類(1)自立語と付属語」のページを、活用については「単語の分類(2)単語の活用」のページ)
文中での用法(文がそこで切れるか続くか、どんな語がそのあとに続くか)によってその形が変化することはありません。つまり、活用がない単語です。
しかし、名詞は主語になるのに対して、副詞は主語になることがありません。(「が」「は」などを付けて、「ゆっくりが」「とてもは」などと表現することができません。)
(主語については、「文節の働き(1)主語・述語」のページを参照してください。)
副詞は、ふつう単独で修飾語になります。
「はっきり」「すぐ」などの副詞は、「はっきりと」「すぐに」というように、語尾に「と」や「に」をともなうがことがあります。その場合も、1語の副詞です。
(1) 連用修飾語になる
副詞の主な働きは、用言(動詞・形容詞・形容動詞)を修飾する、すなわち連用修飾語になることです。
雨の日が しばらく 続く 。
気温が ずいぶん 高い 。
この坂は、かなり 急だ 。
(2) 連体修飾語になる
副詞には、体言(名詞)を修飾する、すなわち連体修飾語になる働きがあります。
目的地は、もっと 先 だ。
副詞のなかには、「の」(助詞)をともなう形で体言を修飾するものもあります。
・もう しばらく の 我慢 だ。
・よほど の 覚悟 がいる。
(3) 副詞や連体詞を修飾する
副詞は、用言や体言だけでなく、他の副詞や連体詞を修飾することもあります。
もっと ゆっくり 歩こう。
かなり 大きな 音がした。
副詞のなかには、「だ」「です」などの付属語をともなって述語になるものもあります。
・駅までもう すぐ だ 。
・ここは、昔から そう です 。
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次の各文の中から副詞を一つずつ抜き出して答えなさい。なお、文中に副詞がない場合には、✕と答えなさい。
(1) 富士山がはっきりと見える。
(2) 到着した後すぐに連絡した。
(3) 警報が鳴ったら、直ちに避難しろ。
(4) ときどきさびしくなることがある。
(5) 昨夜のうちに雪が静かに積もった。
(6) 注文した商品が今とどいた。
【考え方】
副詞は、主に用言を修飾する単語です。まずは、用言を修飾する文節をさがしてみましょう。
ある語が副詞かどうか迷う場合には、活用があるかどうか(副詞には活用がない)、主語になるかどうか(副詞は主語にならない)といったことに着目して見分けるようにします。
(1)の文の「はっきりと」は、「見える」を修飾しています。
「はっきり」は、それだけでも、末尾に「と」が付いた形でも用いることができる副詞です。
副詞のなかには、このように末尾に「と」が付くものが多くあります。
(2)の文の「すぐに」は、「連絡した」を修飾しています。
「すぐ」は、それだけでも、末尾に「に」が付いた形でも用いることができる副詞です。
(3)の文の「直ちに」は、「避難しろ」を修飾しています。
「直ちに」は、活用がない単語ですので(「直ちな」などと形を変えることができない)、副詞です。
(4)の文の「ときどき」は、「ある」を修飾しています。
「ときどき」は、活用がなく、また、主語にならないので、副詞です。
(4)の「さびしく」や(5)の「静かに」は、活用があるので、副詞ではありません(形容詞「さびしい」や形容動詞「静かだ」の連用形)。
(6)の「今」は、「今が、チャンスだ。」というように主語になるので、副詞ではありません(名詞です)。
【答】
(1) はっきりと
(2) すぐに
(3) 直ちに
(4) ときどき
(5) ✕
(6) ✕
*
次の各文中の下線を引いた文節の働きを後から選び、記号で答えなさい。
(1) 深夜にふと目が覚める。
(2) 若者のほうがよほどしっかりしている。
(3) とても小さな人形が飾ってある。
(4) それは、かなり前の話だ。
ア 用言を修飾する
イ 体言を修飾する
ウ 副詞を修飾する
エ 連体詞を修飾する
【考え方】
本文で述べたように、副詞には、用言を修飾するという働きのほかに、体言や他の副詞、連体詞を修飾するという働きもあります。
文中の副詞がどの語を修飾しているかを文節どうしの意味のつながりから判断しましょう。
【答】
(1) ア
(2) ウ
(3) エ
(4) イ