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名詞(1) ― 性質と働き

活用のない自立語のカテゴリーであつかう最初の品詞は、名詞です。名詞とはどのような性質の単語であるのか、また、名詞は文中でどのような働きをするのかについて見ていきましょう。

▼ 名詞の性質

単語のなかには、人や物事の名前・呼び方をあらわすものがあります。

たとえば、「猫」「服」「本」という単語は物の名前ですし、「母親」「あなた」という単語は人の呼び方をあらわしています。

「万葉集」や「夏目漱石」というように、もっと具体的に一つしかないものの名前をあらわす単語もあります。

このように、人や物事の名称めいしょうをあらわす単語名詞めいしと呼びます

名詞は、体言たいげんとも呼ばれます。体言という語は、動詞・形容詞・形容動詞の3品詞を用言と呼ぶのに対応する用語です。

名詞は、文法的にどのような性質をもつ単語なのでしょうか。

(1) 自立語で、活用がある

名詞は、自立語です。すなわち、単独で文節をつくることができる単語です。もっとも、ふつうは名詞のあとに付属語がついて文節をつくります。

名詞は、活用がない単語です。文中で、つねに同じ形で用いられます。

(2) 単独で修飾語や独立語になる

次の例文を見てください。

 きのう 激しい 雨が 降った。

 橋本君、きのうは 雨が 激しかったね。

例文①の「きのう」は、「降った」にかかる修飾語(連用修飾語)です。また、例文②の「橋本君」は、独立語です。いずれも、名詞一つからなる文節です。

このように、名詞は、単独で修飾語や独立語になることができます

作品のタイトル・見出しや会話などでは、名詞が単独で主語として用いられることもあります。

●「帰る」(作品のタイトル)

●「橋本君、帰ったかな。」(会話文)

★ まとめ ★

【名詞の性質】

 名詞は、人や物事の名称をあらわす単語である。体言とも呼ぶ。

 名詞は、次のような性質をもつ。

 自立語で、活用がない

 名詞は、単独で修飾語や独立語になる

▼ 名詞の働き

名詞は、文中でどのような働きをするのでしょうか。一つずつ見ていきましょう。

(1) 主語になる

次の例文を見てください。

●  降る。

●  広い。

●  広い。

上の例文の「雨が」は、「雨」という名詞に助詞の「」がついた文節で、「なにが」にあたる文節(主語)になっています。「空」や「海」についても同じです。

このように、名詞には、「が」「は」「も」などの助詞をともなって主語の文節をつくるという働きがあります。これが名詞の基本的な働きです。

(2) 述語になる

次の例文を見てください。

● これは 

● ここが 新宿

上の例文の「本だ」は、「本」という名詞に付属語(助動詞)の「」がついた文節で、「なにが―なんだ」文型の「なんだ」にあたる文節(述語)になっています。

また、次の例文の「新宿か」は、「新宿」という名詞に付属語(助詞)の「」がついた文節で、疑問文の述語になっています。

このように、名詞には、「だ」「か」などの付属語(助動詞・助詞)をともなって述語の文節をつくるという働きがあります

(3) 修飾語になる

次の例文を見てください。

●  花が 咲く。

● まで 自転車 乗って 行く。

上の例文の「梅の」は、「梅」という名詞に助詞の「」がついた文節で、「花が」という体言文節を修飾する文節(連体修飾語)になっています。

また、次の例文の「駅まで」「自転車に」は、それぞれ「駅」「自転車」という名詞に助詞まで」「」がついた文節で、各々、「行く」「乗って」という用言文節を修飾する文節(連用修飾語)になっています。

このように、名詞には、「の」「まで」「に」などの助詞をともなって修飾語の文節をつくるという働きがあります

上の例文のように、名詞が連体修飾語になるときは助詞の「の」をともないます。

また、名詞が連用修飾語になるときも、ふつう助詞をともないます。

ただし、時をあらわす名詞数詞は、助詞をともなわずに単独で連用修飾語になることができます。次の例で確認してください。(「数詞」とはなにかについては、「名詞(2)種類」のページをご覧ください。)

 きのう 僕は、うどんを 5杯 おかわりしました。

(4) 独立語になる

次の例文を見てください。

● 横浜、ここが 僕の 生まれ育った 町です。

●  、おまえは どこへ 行く。

上の例文の「横浜」という名詞は、単独で提示をあらわす文節(独立語)になっています。

また、次の例文の「雲」という名詞は、助詞の「よ」をともなって呼びかけをあらわす文節(独立語)になっています。

このように、名詞には、 単独で、または助詞をともなって、独立語の文節をつくるという働きもあります

例文のように、名詞からなる独立語は、提示呼びかけをあらわします。

★ まとめ ★

【名詞の働き】

名詞は、文中で次のような働きをする。

 「が」「は」「も」などの助詞がついて主語になる。

 付属語(助動詞・助詞)がついて述語(「なんだ」の文節)になる。

 助詞がついて修飾語(連体修飾語・連用修飾語)になる。時をあらわす名詞数詞は、単独で連用修飾語になる。

 単独でまたは助詞がついて独立語(提示・呼びかけ)になる。

▼ 練習問題で理解度チェック

【問題1】

次の文の中に名詞がいくつあるかを数字で答えなさい。

「あの若者は、毎朝元気に新聞を配達している。」

【正解】

【解説】

ある単語が名詞であるかどうかの見分けは、案外簡単なことではありません。名詞でない単語であっても、文中で用いられると名詞と間違いやすいものがあります。

「若者」は、助詞「は」がついて主語になっているから名詞です。

「毎朝」は、時をあらわす名詞で、単独で連用修飾語になっています。

「元気に」は、一見すると名詞のようですが、これは形容動詞です。

形容動詞は、「―な」の形(連体形)に活用させて名詞をあとに続けることができます。「元気に」という語は、「元気な人」という形にすることができるので、形容動詞であるとわかります。

「新聞」は、「新聞なもの」という形にすることができないので、名詞です。設問文では、助詞「を」がついて連用修飾語になっています。

「配達し」も、一見して名詞のようですが、名詞ではなく動詞です。「配達」という語に「する」という語が結びついてできた複合語のサ変動詞です。

【問題2】

次の各文中の下線を引いた文節について、その働きを後から選んで記号で答えなさい。

(1) 公園の池のほとりに咲く桜がきれいだ。

(2) この問題は、何度挑戦しても解けない。

(3) 誰だ、私のパソコンを汚したのは。

(4) 田中くん、君が汚したのか。

ア.主語  イ.述語  ウ.修飾語  エ.独立語

【正解】

(1) ア

(2) ウ

(3) イ

(4) エ

【解説】

名詞には、主語・述語・修飾語・独立語の四つの働きがあります。

設問文中の下線部の文節がいずれの働きをしているかを、文節のかたちや文節どうしの関係から考えて判断しましょう。

(1) 「桜が」は、名詞に助詞「が」がついて主語になっている文節です。ちなみに、「桜が」に対応する述語は、「きれいだ」であって「咲く」ではありません。

(2) 「何度」は、数量をあらわす名詞です。設問文中では、「挑戦しても」という用言文節を修飾する文節(連用修飾語)になっています。

このように、数量や時間をあらわす名詞は、単独で連用修飾語になることができます。

(3) 設問文(3)は、述語が文の最初に置かれた倒置の文です。これを通常の文に直すと、「私のパソコンを汚したのは誰だ。」になります。

「誰だ」は、「なにが―何だ」文型の「何だ」にあたる文節(述語)です。

(4) 一見すると、「田中くん」は主語であるように思います。しかし、そのすぐ後に「君が」という文節があるので、それが主語であるとわかります。

設問文の「田中くん」は、呼びかけをあらわす独立語です。主語とまぎらわしいですが、直後に読点(、)が打たれていることや、文全体の意味から判断しましょう。

▼ コメント

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コメント: 1
  • #1

    devteam (金曜日, 31 3月 2017 14:57)

    ナイス!

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