■ 代名詞とは
代名詞……人や物事などを指し示す名詞。
(例) あなた これ そっち
■ 人称代名詞
人称代名詞……人を指し示す名詞。
① 自称(第一人称)……話し手(書き手)自身を指す。
(例) わたし ぼく
② 対称(第二人称)……相手(聞き手、読み手)を指す。
(例) あなた きみ
③ 他称(第三人称)……話し手・聞き手以外の人を指す。
(例) このかた そのかた 彼 彼女
④ 不定称……わからない人や決まっていない人を指す。
(例) どなた だれ
■ 指示代名詞
指示代名詞……物事・場所・方向を指し示す名詞。
① 近称……話し手に近い物事などを指す。
(例) これ ここ こちら
② 中称……聞き手に近い物事などを指す。
(例) それ そこ そちら
③ 遠称……どちらからも遠い物事などを指す。
(例) あれ あそこ あちら
④ 不定称……わからない物事などや決まっていない物事などを指す。
(例) どれ どこ どちら
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たとえば、「あなた」「これ」「そっち」という単語があります。
これらの単語は、人・物・方向の名前を表すものではありません。
そうではなく、人・物・方向の名前の代わりにそれらを指す言葉として用いられます。
「あなた」「これ」「そっち」などのように、人や物事などをその名前を言わずに指し示す単語(名詞)を代名詞といいます。代名詞は、名詞の種類の一つです。
このサイトでは代名詞を名詞の一種としてあつかいますが、代名詞を名詞とは別個独立の品詞とする考え方もあります。
*
代名詞には、大きく分けて、人称代名詞と指示代名詞の2種類があります。
それぞれの種類について、くわしく見ていきましょう。
代名詞のうち、人を指し示すものを人称代名詞といいます。
人称代名詞は、誰を指すかによって、次の四つに分けることができます。
(1) 自称(第一人称)
「わたし」「ぼく(僕)」などのように、話し手(書き手)自身を指す代名詞を自称または第一人称といいます。
わたしは、ご飯を食べます。
(2) 対称(第二人称)
「あなた」「きみ」などのように、相手である聞き手(読み手)を指す代名詞を対称または第二人称といいます。
あなた に感謝します。
(3) 他称(第三人称)
「このかた」「かれ(彼)」など、話し手や聞き手以外の人(第三者)を指す代名詞を他称または第三人称といいます。
駅前で 彼 と会った。
他称は、さらに次の三つに分けることができます。
① 近称 … 話し手に近い人を指す。
「このかた」「こいつ」など
② 中称 … 聞き手に近い人を指す。
「そのかた」「そいつ」など
③ 遠称 … 話し手・聞き手のどちらからも遠い人を指す。
「あのかた」「あいつ」「彼」「彼女」など
(4) 不定称
「どなた」「だれ(誰)」など、話し手にわからない人や、誰と決まっていない人を指す代名詞を不定称といいます。
このバッグは、誰 のですか。
どなた でもご参加ください。
疑問文で用いられることの多い代名詞です。
*
人称代名詞の種類と語例を表にしてまとめておきます。
【表】人称代名詞の種類
自称 (第一人称) |
対称 (第二人称) |
他称(第三人称) | 不定称 | ||
近称 | 中称 | 遠称 | |||
わたくし わたし ぼく おれ |
あなた きみ おまえ |
このかた こいつ |
そのかた そいつ |
あのかた あいつ 彼 彼女 |
どのかた どなた だれ どいつ |
★スマートフォンの方は、横にスクロールさせてください。
人称代名詞にはいろいろな表現がありますが、使用する状況に応じてそれらを使い分ける必要があります。
たとえば、公の場所や改まった場面では、「わたくし」や「あなた」「このかた」といった表現を用いるべきであって、「おれ」「おまえ」「こいつ」といった表現を用いるのは適切ではありません。
普通名詞のなかには、代名詞とまぎらわしいものがあります。たとえば「お父さん・お母さん・兄・妹・先生」などといった名詞は、人称代名詞と考えてしまいそうですが、代名詞ではありません。
また、名詞のなかには、特殊な代名詞としての用法を持つものがあります。
次の例文を見てください。
・あなたは、自分 の体を大事にしてください。
・私は、自己 の責任で参加します。
それぞれの例文にある「自分」「自己」という名詞は、それらの前に出てきた「あなた」「私」が示す人物と同じ人物を指しています。(このような名詞を再帰代名詞などと呼びます。)
代名詞のうち、物事・場所・方向(方角)を指し示すものを指示代名詞といいます。
指示代名詞は、次の四つに分けることができます。
(1) 近称
「これ」「ここ」「こちら」などのように、話し手(書き手)に近い物事などを指す代名詞を近称といいます。
これ が欲しい。
出口は、ここ です。
(2) 中称
「それ」「そこ」「そちら」などのように、聞き手(読み手)に近い物事などを指す代名詞を中称といいます。
それ を貸してください。
そこ から何か見えますか。
(3) 遠称
「あれ」「あそこ」「あちら」などのように、話し手と聞き手のどちらからも遠い物事などを指す代名詞を遠称といいます。
あれ が富士山です。
あそこ まで競争しよう。
【図】近称・中称・遠称
(4) 不定称
「どれ」「どこ」「どちら」などのように、話し手にわからない物事などや、とくに決まっていない物事などを指す代名詞を不定称といいます。
あなたの作品は どれ ですか。
このカードは、どこ の駅でも使える。
*
指示代名詞の種類と語例を表にしてまとめておきます。
【表】指示代名詞の種類
近称 | 中称 | 遠称 | 不定称 | |
物事 | これ | それ | あれ | どれ |
場所 | ここ | そこ | あそこ | どこ |
方向 |
こちら こっち |
そちら そっち |
あちら あっち |
どちら どっち |
指示代名詞と似たような単語に、「こう・そう・この・あの・こんなだ・どんなだ」などといった単語があります。
これらの単語は、指示代名詞とは品詞がちがいますが(副詞・連体詞・形容動詞)、何かを指し示す働きをしていることが指示代名詞と共通しています。
そこで、指示代名詞とこれらの単語をまとめて指示語と呼びます。
指示語は、その単語の頭が「こ・そ・あ・ど」のいずれかであるので、「こそあど言葉」と呼んだりもします。
(指示語については、「指示語(こそあど言葉)」のページで解説しています。)
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次の文中の丸かっこに入る適当な語を答えなさい。
「代名詞には、大きく分けて(①)と(②)の2種類がある。(①)は、(③)を指し示す語であって、自称・(④)・他称・(⑤)に区別することができる。(②)は、(⑥)・場所・(⑦)を指し示す語であって、近称・中称・(⑧)・(⑤)に区別することができる。(⑦)をさし示す(②)の例として、『こちら』『どちら』などがある。」
【考え方】
このページで学んだ内容のおさらいです。
「要点のまとめ」や本文の解説を見ながら当てはまる語を考えましょう。
【答】
① 人称代名詞(人代名詞)
② 指示代名詞
③ 人
④ 対称(第二人称、二人称)
⑤ 不定称
⑥ 物事(事物)
⑦ 方向(方角)
⑧ 遠称
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次の表は、指示代名詞についてまとめたものである。各番号の欄に当てはまる適当な語を答えなさい。
近称 | ① | 遠称 | 不定称 |
これ | ② | あれ | どれ |
③ | そこ | ④ | ⑤ |
こちら こっち |
⑥ そっち |
あちら ⑦ |
⑧ どっち |
【考え方】
指示代名詞の表を完成させる問題です。本文にある表(「指示代名詞の種類」)を参考にしながら、空白部分を埋めていきましょう。
指示代名詞には、近称・中称・遠称・不定称の区別があります。それぞれ「こ」「そ」「あ」「ど」ではじまる語であることを知っていれば、各々の空欄にどのような語が入るかの見当がつきます。
指示代名詞は数が少ないので、表にある単語を覚えるようにしましょう。
【答】
① 中称
② それ
③ ここ
④ あそこ
⑤ どこ
⑥ そちら
⑦ あっち
⑧ どちら