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動詞(4) ― 五段活用

動詞の活用のしかたは5種類ありますが、これから一つずつページを分けて説明します。このページでは、まず五段活用を取りあげてみたいと思います。何度もくり返して声に出すなどして、動詞の活用のしかたをしっかりと覚えましょう。五段活用だけの特徴として、連用形に音便の形があらわれます。音便の形も一つのりっぱな活用形として扱われることに注意しましょう。

▼ 五段活用とは

「書く」という動詞を例にして、その活用のしかたを見てみましょう。「書く」を活用させると、次のようになります。

  ない (未然形)

  う  (未然形)

  ます (連用形)

  。  (終止形)

  とき (連体形)

  ば  (仮定形)

  。  (命令形)

太字の部分「か(書)」が語幹であり、赤字の部分が活用語尾です。

未然形から命令形までの活用語尾をよく見ると、「か・き・く・け・こ」というように、五十音図カ行の五つの段の音すべてが使われていることがわかります。

このように、「書く」という動詞は、活用語尾が五十音図の五つの段すべてにわたって変化しますこのような動詞の活用のしかたを五段活用ごだんかつようと言います

五段活用をイメージしやすいように表のかたちにしてみます。

【表】五段活用

未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形

ナイ

マス

(言い切る)

トキ

(命令して

言い切る)

表の2段目の「―ア」というのは、単語の活用語尾がア段の音(か・が・さ・た・…)であることをあらわしています。ほかも同様です。

表の3段目は、それぞれの活用形の用法です。ナイ・ウ・マスなどは、それぞれの活用形につく代表的なことばです。

五段活用は、上の表の赤字の音を声に出すなどして覚えるとよいでしょう。

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もう一度、動詞「書く」の例を見てみると、「書く」という動詞の活用語尾は、すべての活用形を通じてカ行一行のなかにおさまっています。そこで、「書く」をカ行五段活用の動詞と呼んだりすることがあります。

このように、一つの動詞は一つの行のなかで活用するのが原則です。

***

なお、上の表を見てわかるように、五段活用の動詞には未然形が二つあることに注意してください。ナイに連なるときは活用語尾がア段の音の形になり、に連なるときはオ段の音の形になります。たとえば、「書く」が「ない」に連なるときは「書ない」となり、「う」に連なるときは「書」となります。

また、次で説明しますが、連用形についても上の表の形のほかに、音便と呼ばれるもう一つの形があります。

★ まとめ ★

【動詞の五段活用】

○ 五段活用は、活用語尾が五十音図の五つの段すべてにわたって変化するような動詞の活用のしかたである。具体的には、本文の表を参照すること。

▼ 五段活用動詞の音便

次のいくつかの例を見てください。

● 聞き ます →     

● 住み ます →     

● 売り ます →     

五段活用の動詞「聞く」「住む」「売る」の連用形は、上の例の「ます」が続く場合のように、「聞き」「住み」「売り」であるのがふつうです。

しかし、「た(だ)」「て(で)」などの決まった語が続く場合には、「聞く」「住む」「売る」の連用形はそれぞれ「聞い」「住ん」「売っ」になります。活用語尾が変化していることに注目してください。

このように、五段活用の動詞に「た(だ)」「て(で)」などの語が続くとき、音便おんびんと呼ばれる連用形のもう一つの形があらわれます。音便とは、発音をしやすくなるために、もとの音がちがう音に変化することです。

動詞の音便があるのは五段活用の連用形だけであって、他の種類の活用に音便はありません。音便の形も、動詞の連用形の一つです。

音便は五段活用の動詞にあると述べましたが、これには例外があります。すなわち、サ行五段活用の動詞だけは音便がありません

● 貸し 貸し  )  返し 返し  )

ところで、動詞の音便には、イ音便はつ音便そく音便の3種類があります。

三つの音便のちがいは、動詞に「た」「て」などが続くときに、活用語尾がどのような音になるかという点にあらわれます。イ音便であれば活用語尾が「」、撥音便であれば「」、促音便であれば「」になります

また、ある動詞の音便が3種類のいずれになるかは、その動詞の活用する行によって決まります。次の表を参照してください。

【表】音便の種類

音便の種類 説明
イ音便

カ行ガ行五段活用の動詞に「た」「て」などが続くとき、連用形の活用語尾が「」になる。

(例)書き ます → 書  (書  

撥音便

ナ行バ行マ行五段活用の動詞に「た」「て」などが続くとき、連用形の活用語尾が「」になる。

(例)死に ます → 死  (死  

促音便

タ行ラ行ワ行五段活用の動詞に「た」「て」などが続くとき、連用形の活用語尾が「」になる。

(例)勝ち ます → 勝  (勝  

上の説明には例外があります。カ行五段活用の動詞はイ音便になるのが原則ですが、「行く」だけは、イ音便ではなく、促音便になります。

● 神社へお参りに 行   。

動詞の連用形につく「た」は助動詞、「て」は助詞です。「た」「て」は、ガ行五段活用のイ音便形や、ナ行・バ行・マ行五段活用の撥音便形につくときに濁音化してそれぞれ「」「」になります。

● 急い (急い  )  ガ行五段活用のイ音便形

● 死ん (死ん  )  ナ行五段活用の撥音便形

● 学ん (学ん  )  バ行五段活用の撥音便形

● 飲ん (飲ん  )  マ行五段活用の撥音便形

★ まとめ ★

【五段活用動詞の音便】

○ 五段活用の動詞に「た(だ)」「て(で)」などの語が続くとき、連用形音便の形になる。

○ 音便の形の活用語尾は、イ音便であれば「」、撥音便であれば「」、促音便であれば「」になる。

▼ 五段活用動詞の活用表

五段活用動詞の活用のしかたを表のかたちで確認しましょう。活用する行をまとめて表にしてみると、次のようになります。

連用形のうちの太字の形は、音便の形です。なお、サ行五段活用の動詞には音便がありません。

【表】五段活用動詞の活用表

基本形 語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
用法

ナイ

マス

言い切る

トキ

命令して

言い切る

書 く か(書)

―か

―こ

―き

―い

―く ―く ―け

―け

注 ぐ そそ(注)

―が

―ご

―ぎ

―い

―ぐ ―ぐ ―げ ―げ
話 す はな(話)

―さ

―そ

―し

―す ―す ―せ ―せ
立 つ た(立)

―た

―と

―ち

―っ

―つ ―つ ―て ―て
死 ぬ し(死) 

―な

―の

―に

―ん

―ぬ ―ぬ ―ね ―ね
学 ぶ まな(学)

―ば

―ぼ

―び

―ん

―ぶ ―ぶ ―べ ―べ
読 む よ(読)

―ま

―も

―み

―ん

―む ―む ―め ―め
知 る し(知)

―ら

―ろ

―り

―っ

―る ―る ―れ ―れ
買 う か(買) 

―わ

―お

―い

―っ

―う ―う ―え ―え

上の表を見ると、「買う」という動詞はその未然形の活用語尾がワ行の音「わ」とア行の音「お」になっています。そうすると、「買う」はワア行五段活用の動詞と呼ぶことができます。しかし、ワ行五段活用の動詞と呼ぶことがふつうです。ワ行五段活用の動詞には、「買う」のほかに、「思う」「言う」「使う」「歌う」「戦う」などがあります。

▼ 練習問題で理解度チェック

【問題1】

次の各文中のかっこ内の動詞を、それぞれの文に適した活用形にしなさい。

(1) 子供に夢を(持つ)せるのは、大人の義務である。

(2) 新宿へ(遊ぶ)に行きませんか。

(3) 医者が言うには、母の病気は早く(治る)そうだ。

(4) この道を(行く)ば、どこへ行き着くのか。

【正解】

(1) 持た  (2) 遊び  (3)  治る  (4) 行け

【解説】

動詞の活用形は、そのあとに続く語によって決まります。したがって、動詞の活用形を判断するには、どのような語がどのような活用形につくのかということをあらかじめ知っていなければいけません。そのためには、助動詞や助詞について一通り学ぶ必要があります。

(1) 「せる」は使役(~させる)の意味の助動詞であって、動詞の未然形につきます。「持つ」はタ行五段活用の動詞で、未然形は「持た」です。

(2) 設問文中「に」は格助詞であって、この場合は動詞の連用形について動作の目的をあらわしています。「遊ぶ」はバ行五段活用の動詞で、連用形は「遊び」です。

(3) 「そうだ」は、その意味によって接続が異なる助動詞です。つまり、様態(そのようなようすだ)の意味であれば動詞の連用形につき、伝聞(人からそう聞いた)の意味であれば終止形につきます。設問文がいずれの文意であるかが問題になりますが、前半部分に「医者が言うには」とあるから伝聞だとわかります。

「治る」はラ行五段活用の動詞で、終止形は「治る」です。

(4) 「ば」は、活用語の仮定形につく助詞です。「行く」はカ行五段活用の動詞で、仮定形は「行け」です。

【問題2】

次の各動詞の音便の種類を、あとのア~ウから選んで記号で答えなさい。

(1) 泣く  (2) 騒ぐ  (3) 待つ  (4) 死ぬ  (5) 運ぶ

(6) 飲む  (7) 切る  (8) 思う

 ア イ音便  イ 撥音便  ウ 促音便

【正解】

(1) ア  (2) ア  (3) ウ  (4) イ  (5) イ  (6) イ  (7) ウ  (8) ウ

【解説】

それぞれの動詞の連用形に「た(だ)」をつけて言いやすい形にしてみましょう。活用語尾が「い」ならイ音便、「ん」なら撥音便、「っ」なら促音便です。

(1) 泣き+た → 泣  (イ音便)

(2) 騒ぎ+た → 騒  (イ音便)

(3) 待ち+た → 待  (促音便)

(4) 死に+た → 死  (撥音便)

(5) 運び+た → 運  (撥音便)

(6) 飲み+た → 飲  (撥音便)

(7) 切り+た → 切  (促音便)

(8) 思い+た → 思  (促音便)

なお、(2)(4)(5)(6)のように、「た」がガ・ナ・バ・マ行五段活用の音便形につくとき、「た」は濁って「だ」になります。

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