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動詞(6) ― 下一段活用

このページでは、動詞の活用のしかたの一つである下一段活用について説明します。下一段活用は、上一段活用とよく似た活用なので、上一段活用を先に学んでおくと理解しやすいと思います。六つの活用形を順に声に出すことをくり返すなどして、動詞の活用のしかたをしっかりと覚えましょう。下一段活用の動詞には、語幹と活用語尾の区別がないものがいくつかあることに注意してください。

▼ 下一段活用とは

まず、「受ける」という動詞を例にして、その活用のしかたを見てみましょう。「受ける」を活用させると、次のようになります。

  ない  (未然形)

  ます  (連用形)

 ける 。  (終止形)

 ける とき (連体形)

 けれ ば  (仮定形)

 けろ 。  (命令形)

 けよ 。  (命令形)

太字の部分「う(受)」が語幹であり、赤字の部分が活用語尾です。一見すると、活用によって変化していない部分は「受け」ですので、「受ける」の語幹は「受け」であるように思えます。しかし、「受ける」の語幹は、「う(受)」の部分だけです。

上一段活用について述べたのと同じように、動詞の形で活用によって変化しない部分が語幹であるとする説明は、下一段活用の場合にはうまくあてはまりません。理由はさまざまですが、「受ける」の語幹は「う(受)」の部分だけであると理解してください。

上の例で、「受ける」の未然形から命令形までの活用語尾をよく見ると、五十音図のエ段の音「け」だけであるか、または、それに「る」「れ」「ろ」「よ」がつくものであることがわかります。

このように、「受ける」という動詞は、活用語尾が五十音図のエ段だけで活用しますこのような動詞の活用のしかたを下一段活用しもいちだんかつようと言います。(「下一段」活用と呼ばれるのは、五十音図の中央のウ段より下の一段で活用するからです。)

下一段活用をイメージしやすいように表のかたちにしてみます。

未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
エる エる エれ

エろ

エよ

ナイ

ヨウ

マス

(言い切る)

トキ

(命令して

言い切る)

表2段目の「―エ」というのは、単語の活用語尾がエ段の音(え・け・げ・せ・…)であることをあらわしています。

表3段目は、それぞれの活用形の用法です。ナイ・ヨウ・マス・タなどは、それぞれの活用形につく代表的なことばです。

下一段活用は、上の表の赤字の音をくり返し声に出すなどして覚えるとよいでしょう。

**

下一段活用の動詞のなかには、上一段活用の動詞とおなじように、語幹と活用語尾の区別がないものもあります。次の各動詞は下一段活用ですが、これらには語幹と活用語尾の区別がありません。

【語幹と活用語尾の区別がない下一段活用動詞】

る  出る  寝る  

★ まとめ ★

【動詞の下一段活用】

○ 下一段活用は、活用語尾が五十音図のエ段だけで活用するような動詞の活用のしかたである。具体的には、本文の表を参照すること。

○ 下一段活用の動詞には、語幹と活用語尾の区別がないものがある(「得る」「出る」「寝る」「経る」)。

▼ 下一段活用動詞の活用表

下一段活用動詞の活用のしかたを表のかたちで確認しましょう。活用する行をまとめて表にしてみると、次のようになります。

なお、語幹と活用語尾の区別がない動詞は、語幹の欄を「○」にしています。

【表】下一段活用動詞の活用表

基本形 語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
用法

ナイ

ヨウ

マス

言い切る

トキ

命令して

言い切る

得(え) る える える えれ

えろ

えよ

受 け る う(受) ―け ―け ―ける ―ける ―けれ

―けろ

―けよ

下 げ る さ(下) ―げ ―げ ―げる ―げる ―げれ

―げろ

―げよ

や せ る ―せ ―せ ―せる ―せる ―せれ

―せろ

―せよ

混 ぜ る ま(混) ―ぜ ―ぜ ―ぜる ―ぜる ―ぜれ

―ぜろ

―ぜよ

当 て る あ(当) ―て ―て ―てる ―てる ―てれ

―てろ

―てよ

出(で) る でる でる でれ

でろ

でよ

寝(ね) る ねる ねる ねれ

ねろ

ねよ

経(へ) る へる へる へれ

へろ

へよ

食 べ る た(食) ―べ ―べ ―べる ―べる ―べれ

―べろ

―べよ

決 め る き(決) ―め ―め ―める ―める ―めれ

―めろ

―めよ

入 れ る い(入) ―れ ―れ ―れる ―れる ―れれ

―れろ

―れよ

▼ 練習問題で理解度チェック

【問題1】

次の単語の中から、下一段活用の動詞でないものを選んで答えなさい。

終わる 終える ひねる ひける 見える 見せる 聞こえる 聞ける

【正解】

終わる  ひねる

【解説】

下一段活用の動詞とそれ以外の活用をする動詞とを見分ける問題です。

下一段活用の基本形は「―エる」の形になりますが、「ひねる」のように、五段活用の動詞のなかにも基本形が「―エる」の形をとるものがあります。

そこで、動詞にナイをつけて未然形に活用させて、その活用語尾に着目してみます。下一段活用の動詞であれば、未然形の活用語尾がエ段の音になります。

終わる → 終わ  ナイ

終える → 終  ナイ

ひねる → ひね  ナイ

ひける → ひ  ナイ

見える → 見  ナイ

見せる → 見  ナイ

聞こえる → 聞こ  ナイ

聞ける → 聞  ナイ

未然形がエ段音でない﹅﹅ものを太字で示しました。「ひねる」は、基本形が「―エる」の形です。しかし、未然形の活用語尾が「ら」(ア段音)であるから、下一段活用ではありません。

なお、「聞ける」のような単語は可能の意味を含んだ動詞であって、このような動詞は可能動詞と呼ばれます。可能動詞は、すべて下一段活用になることを知っておきましょう。

【問題2】

次の各文中のかっこ内の動詞を適当な活用形に直して答えなさい。

(1) 議員の弁明べんめいは、要領ようりょうを(得る)ないものであった。

(2) 猫に服を(着せる)たりしてはいけません。

(3) 夜が(ふける)と、あたりの空気が冷え込んできた。

(4) 縦に(入れる)ば、ちょうど収まるように設計されています。

【解答】

(1) 得(え)  (2) 着せ  (3) ふける  (4) 入れれ

【解説】

設問の各文かっこ内は、すべて下一段活用の動詞です。それぞれの動詞の直後に着目して、どのような活用形があてはまるのかをかんがえます。本問を解くためには、助動詞や助詞の接続についての知識が必要です。

(1) 「ない」は、動詞の未然形につく助動詞です。「得る」の未然形は、「得(え)」です。ちなみに、「得る」は、語幹と活用語尾の区別がない動詞の一つです。

(2) 「たり」は、活用語の連用形につく助詞です。「着せる」の連用形は、「着せ」です。

「着せる」は、この形で1語の動詞です。「着せる」であれば、「着(き)」(上一段活用の動詞)と「させる」(使役の助動詞)の2語に分けることができます。

(3) 「と」は、活用語の終止形につく助詞です。したがって、「ふける」の形がつきます。

(4) 「ば」は、活用語の仮定形につく助詞です。「入れる」の仮定形は、「入れれ」です。

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