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形容動詞(2) ― 活用

形容動詞に分類される単語は、すべて活用のしかたが同じになります。各活用形の活用語尾を「だろ・だっ・で・に・だ・な・なら」と、リズムよく覚えましょう。もっとも、形容動詞のなかには特別な活用をするものもあります。

後半では、形容動詞のそれぞれの活用形が文中でどのように用いられるかについて学びます。動詞や形容詞の活用とは異なる部分が多いので、それらとのちがいを意識しながら勉強していきましょう。

▼ 形容動詞の活用と活用形

形容動詞は活用がある単語ですが、どのように活用するのでしょうか。「きれいだ」を例にして形容動詞の活用のしかたを見てみましょう。

きれい だろ う  (未然形)

きれい だっ た  (連用形)

きれい  ない  (連用形)

きれい  なる  (連用形)

きれい  。   (終止形)

きれい  とき  (連体形)

きれい なら (ば)(仮定形)

太字の部分「きれい」が語幹であり、赤字の部分が活用語尾です。

「きれいだ」にかぎらず、形容動詞に分類される単語は、原則としてその活用語尾が「だろ・だっ・で・に・だ・な・なら」になります。つまり、形容動詞の活用のしかたは1種類だけです

なお、形容動詞の活用形も、形容詞と同じように、未然形連用形終止形連体形仮定形の五つであって、命令形はありません

きれいです」といった言い方をすることがありますが、これは形容動詞の語幹に助動詞「です」が連なった形です。しかし、このような形を1語の形容動詞とする考え方もあります。その考え方をとるときは、形容動詞にはもう1種類の活用のしかたが存在することになります。(活用のしかたは、助動詞「です」と同じになります。)

形容動詞の活用表は、次のようになります。

基本形 語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
すてきだ すてき

だろ

だっ

なら

親切だ 親切

用法

ナイ・アル

ナル

言い切る

トキ

(バ)

形容動詞の連用形は三つあることと、命令形がないことに注意しましょう。

各活用形の用法については、後に説明します。

**

形容動詞の活用のしかたは、原則として以上に述べたとおりです。しかし、形容動詞とされる単語のなかでも、こんなだ」「そんなだ」「あんなだ」「どんなだ」および「同じだ」は、例外的に特殊な活用をします

次の例を見てください。

● こんな とき  そんな こと  あんな   どんな 

● 同じ 場所 (「同じ  場所」とは言わない。)

「とき」「こと」「人」「物」「場所」という語はすべて名詞(体言)ですから、これらの語に連なる形容動詞は連体形、すなわち「―な」の形になるのが原則です。

この原則どおりに形容動詞の「こんなだ」が名詞「とき」に連なるときの形をかんがえると、「こんなとき」となります。しかし、このような言い方をすることはなく、上の例のように、語幹の「こんな」を直接名詞に連ねる言い方をします。

このように、形容動詞の「こんなだ」「そんなだ」「あんなだ」「どんなだ」「同じだ」は、体言などに連なるときはその語幹だけを用います

もっとも、これらの語には「―な」の形の連体形がないわけではなく、助詞「ので」「のに」などに続く場合にだけ、一般の形容動詞と同じように、「―な」の形の連体形があらわれます。次の例で確認してください。

● 見た目は こんなな のに 、学校の先生らしい。

● うしろ姿が 同じな ので 、よく間違えられる。

体言につくときの「こんな」「そんな」「あんな」「どんな」「同じ」を形容動詞ではなく、連体詞とする考え方もあります。また逆に、一般に連体詞と考えられている「大きな」「おかしな」などの語を、連体形のみが存在する形容動詞とする考え方もあります。

★ まとめ ★

【形容動詞の活用と活用形】

○ 形容動詞の活用のしかたは、「だろ・だっ・で・に・だ・な・なら」の1種類だけである。

○ 形容動詞の活用形は、未然形・連用形・終止形・連体形・仮定形の五つであり、命令形がない

○ 「こんなだ」「そんなだ」「あんなだ」「どんなだ」「同じだ」は、特殊な活用をする。

▼ 形容動詞の活用形の用法

形容動詞には、未然形・連用形・終止形・連体形・仮定形の五つの活用形があると説明しました。形容動詞の活用形の用法はさまざまですが、ここではそれぞれの活用形の用法のうち代表的なものだけを取りあげます。なお、形容動詞には、形容詞と同じく、語幹だけの用法もあります。

(1) 未然形

次の例文の赤字の語は、形容動詞の未然形です。

● 彼の心境は 複雑だろ  。 (「複雑だ」の未然形)

このように、形容動詞の未然形は、助動詞の「」につらなるときに用いられます。形容詞と同じく、「う」に連なる用法しかありません。

(2) 連用形

形容動詞の連用形には「―だっ」「―で」「―に」の三つの形があり、それぞれ用法がちがいます。

次の各例文の赤字の語は、すべて形容動詞の連用形「―だっ」です。

● 彼女は 元気だっ  。 (「元気だ」の連用形)

● 日によって、多忙だっ たり 退屈だっ たり する。 (「多忙だ」「退屈だ」の連用形)

このように、―だっ」の形は、助動詞「」や助詞「たり」に連なります

次の各例文の赤字の語は、すべて形容動詞の連用形「―で」です。

【A】 ここは 安全で ない(ある) 。 (「安全だ」の連用形)

【B】 好きで  ない。 嫌いで  ない。 (「好きだ」「嫌いだ」の連用形)

【C】 肌ざわりが なめらかで 、とてもきれいだ。 (「なめらかだ」の連用形)

まず、「―で」の形は、形容詞の「ない」や動詞の「ある」に連なります(例文A)。この場合の「ない」「ある」は、補助用言です。

次に、「―で」の形は、助詞の「」や「」にも連なります(例文B)

そして、形容動詞の連用形にも中止法の用法があり、「―で」の形が用いられます(例文C)。中止法とは、連用形によって文をいったん中止した後に、また続けるような表現のしかたです。すべての用言の連用形には、中止法の用法があります。

動詞と形容詞・形容動詞とでは、それぞれ「ない」がつく活用形が異なることに注意しましょう。動詞の場合は未然形に「ない」がつきますが、形容詞・形容動詞の場合は連用形に「ない」がつきます。ちなみに、動詞の未然形につく「ない」は助動詞で、形容詞・形容動詞の連用形につく「ない」は形容詞(補助形容詞)です。

**

次の例文の赤字の語は、形容動詞の連用形「―に」です。

(例)落ち着いて 冷静に なる 。 (「冷静だ」の連用形)

このように、「―に」の形は、「なる」などのいろいろな用言に連なります

(3) 終止形

次の例文の赤字の語は、形容動詞の終止形です。

● この問題はとても 簡単だ 。 (「簡単だ」の終止形)

例文のように、形容動詞の終止形はその語で文が終わる(言い切る)ときに用いられます

形容動詞の終止形は、形容動詞の基本形であり、国語辞典の単語の見出しとして用いられる形です。

終止形の用法は、文を言い切ることだけにかぎられません。形容動詞の終止形には、助動詞や助詞に連なる用法もあります。次の例で確認してください。

● この小説は ユニークだ そうだ 。 (「ユニークだ」の終止形)

● この店は にぎやかだ  評判だ。 (「にぎやかだ」の終止形)

(4) 連体形

次の例文の赤字の語は、形容動詞の連体形です。

● これは非常に 貴重な もの です。 (「貴重だ」の連体形)

このように、形容動詞の連体形は、名詞(体言)に連なるときに用いられます。

形容動詞の連体形には、体言に連なる用法のほかに、助動詞「ようだ」や助詞「ので」などに連なる用法もあります。次の例で確認してください。

● 彼女は新しい部屋が 不満な ようだ 。 (「不満だ」の連体形)

● 彼は まじめな ので 信頼されている。 (「まじめだ」の連体形)

(5) 仮定形

次の例文の赤字の語は、形容動詞の仮定形です。

● 波が おだやかなら (ば) 、泳ぎに行こう。 (「おだやかだ」の仮定形)

例文のように、形容動詞の仮定形は、助詞「」に連なります

動詞や形容詞とちがって、形容動詞の仮定形に続く「ば」は省略することもできます

(6) 語幹の用法

形容動詞には、語幹だけの用法もあります

次の例文を見てください。

【A】 まあ、すてき 。 (「すてきだ」の語幹)

【B】 あの人は、親切 そうだ 。 (「親切だ」の語幹)

例文Aの赤字の部分「すてき」は、形容動詞「すてきだ」の語幹です。この例文のように、形容動詞の語幹が単独で述語になる場合があります。

また、例文Bでは、「親切だ」の語幹「親切」が「そうだ」に直接つらなっています。この場合の「そうだ」は、様態の意味をあらわす助動詞で、形容動詞の語幹に接続します。

形容動詞の語幹だけでなく、形容詞の語幹にも様態の助動詞「そうだ」に連なる用法があります。形容動詞の語幹には助動詞「らしい」「です」に連なる用法もありますが、形容動詞の語幹にはこれらの助動詞に直接連なる用法はありません。

★ まとめ ★

【形容動詞の活用形の主な用法】

○ 未然形は、助動詞「」に連なる。

○ 連用形「―だっ」は、助動詞「」や助詞「たり」に連なる。

○ 連用形「―で」は、

① 「ない」「ある」(補助用言)に連なる。

② 助詞「」「」に連なる。

③ 中止法に用いる。

○ 連用形「―に」は、用言に連なる。

○ 終止形は、その語で文が終わる(言い切る)ときに用いる。

○ 連体形は、体言に連なる。

○ 仮定形は、助詞「」に連なる(「ば」は省略することができる)。

○ 語幹だけの用法もある。

▼ 練習問題で理解度チェック

【問題1】

次の各文中のかっこ内の形容動詞を、それぞれの文に適した形にしてその活用形を答えなさい。

(1) 被害者の父親が(複雑だ)心境を語った。

(2) 人付き合いがあまり(上手だ)ない。

(3) 先生の話を(すなおだ)聞く子はよく伸びる。

(4) お金の無駄づかいが(嫌だ)、家計簿をつけなさい。

【正解】

(1) 複雑な―連体形  (2) 上手で―連用形  (3) すなおに―連用形  (4) 嫌なら―仮定形

【解説】

活用する語が文中でどのような形になるかは、そのあとに続く語によって決まります。したがって、形容動詞の活用形を判断するためには、その用法、すなわち、それぞれの活用形がどのような語に連なるのかということをあらかじめ知っておくことが必要です。

(1) 「心境」は名詞(体言)なので、それに連なる形容動詞は連体形になります。「複雑だ」の連体形は、「複雑な」です。

(2) 形容動詞が「ない」に連なるときは、連用形の一つ「―で」の形になります。設問文のかっこ内には、「上手だ」の連用形「上手で」が入ります。形容動詞の連用形につく「ない」は、補助形容詞です。動詞に「ない」がつく場合とのちがいに注意してください。動詞の場合は、未然形に助動詞の「ない」がつきます。

(3) 「聞く」は動詞(用言)ですので、それに連なる形容動詞は連用形になります。形容動詞の連用形には三つの形がありますが、ふつうの用言に連なるときは「―に」の形になり、補助用言「ない」「ある」に連なるときは「―で」の形になります。「聞く」はふつうの用言なので、かっこ内に入るのは「すなおに」の形になります。

(4) 設問文のかっこ内の直後が読点(、)になっています。形容動詞の直後に読点がくるのは、連用形「―で」の中止法か、仮定形「―なら」のいずれかです。いずれの形になるのかは、文全体の意味から判断します。設問文の場合、連用形「嫌で」だと文意が成り立ちません。ここでは、仮定形「嫌なら」が入ります。

【問題2】

次の語群のなかから、形容動詞の語幹として用いることができない語を選び、番号で答えなさい。

① 変  ② 不思議  ③ 芸術的  ④ シュール  ⑤ 文化

【正解】

【解説】

形容動詞の語幹にはさまざまな形がありますが、なかには形容動詞の語幹であるかそうでないかの見分けがむずかしい語もあります。ある語が形容動詞の語幹になるかどうかを見分けるには、その語に「な」をつけて体言が続くかどうかをかんがえます。

「変」は、たとえば「変絵」と言うことができます。「不思議」「芸術的」「シュール」についても、それぞれ「不思議絵」「芸術的絵」「シュール絵」と言うことができます。したがって、これらの語はすべて形容動詞の語幹として用いることができます。

これらに対して、「文化」という語は「文化絵」などと言うことができません。したがって、「文化」は形容動詞の語幹として用いることができません。

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