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形容詞(1) ― 性質と働き

これから用言の一つである形容詞について学んでいきます。動詞と形容詞は、それぞれ性質や働きが似ていますが、活用のしかたがちがいます。動詞とくらべながら、形容詞の性質や働きを一つひとつ確かめていきましょう。

▼ 形容詞の性質

形容詞けいようしは、物事の性質・状態をあらわす単語です。例を見てみましょう。

● 線が 太い 。(性質)  お腹が 太る 。(作用)

● 心が 悲しい 。(状態)  親が 悲しむ 。(動作)

赤字の単語「太い」「痛い」が形容詞で、青字の単語「太る」「痛む」が動詞です。動詞が「どうする」「どうなる」という動作・作用をあらわすのに対して、形容詞は「どんなだ」という性質・状態をあらわしています。

形容詞は用言の一つであって、おなじ用言である動詞や形容動詞とその性質や働きがよく似ています。形容詞の性質について一つずつ見ていきましょう。「品詞分類表」を見て確かめるようにするとわかりやすいと思います。

(1) 自立語で、活用がある

形容詞は、自立語です。すなわち、単独で文節をつくることができる単語です。助動詞や助詞といった付属語が形容詞のあとについて、一つの文節をつくることもあります。

そして、形容詞は、活用がある単語です。つまり、文中でどのように用いられるかによって語のかたちが変化します。たとえば、「美しい」という形容詞を活用させてみると、次のようになります。

月が 美しい 。

月が 美しかろ う。

月が 美しかっ た。

月が 美しく ない。

月が 美しい とき

月が 美しけれ ば

形容詞に分類される単語は、動詞とちがって、すべて同じような活用のしかたをします。各活用形の用法も動詞とはちがっています。形容詞の活用については、ページをあらためて説明します。

(2) 言い切りの形が「い」で終わる

次の語例を見てみましょう。

(例)大き   熱   赤   さみし   激し 

上にならべた単語は、すべて形容詞です。それぞれの単語の最後(青い字の部分)に注目してください。すべて「い」で終わっています。

このように、形容詞は、言い切るときの形が「」で終わります。このことは、上の例にあげた単語以外の形容詞についてもあてはまります。

もっとも、形容詞はその形が変化する(活用する)ので、文中ではかならずしも「い」で終わる形になるとはかぎりません。ここでは、国語辞典の見出しになる形(言い切りの形)が「い」になるということに注意してください。

動詞・形容詞・形容動詞は、いずれも自立語であって活用がある単語であり、また、単独で述語になることができます。ただ、動詞・形容詞・形容動詞は、それぞれ言い切りの形が異なります。つまり、動詞はウ段音、形容詞は「い」、形容動詞は「だ」で終わるという違いがあります。

(3) 単独で述語になることができる

次の例文を見てください。

● お店で食べる料理は おいしい 。

● 気温が 高く 、湿気が 多い 

それぞれの例文の赤字の部分は、すべて形容詞1語からなる文節です。形容詞がそれだけで、「なにが―どんなだ」という文型の「どんなだ」にあたる文節(述語)をつくっています。

このように、形容詞は、ほかの語をともなわずに単独で述語になることができる単語です。名詞など用言以外の品詞も述語になることはできますが、その場合、単独ではなく、付属語をともなうかたちの文節をつくります。

★ まとめ ★

【形容詞の性質】

○ 形容詞は、次のような性質をもつ。

① 自立語で、活用がある

② 言い切りの形が「」で終わる。

③ 単独で述語になることができる。

▼ 形容詞の働き

形容詞という単語は、文中で動詞とほぼ同じ働きをします。もっとも、完全に動詞と同じであるわけではありません。一つずつ確かめていきましょう。

(1) 述語になる

次の例文を見てください。

● この猫が一番 かわいい 。

● この本は、あまり おもしろく なかっ  。

上の二つの例文は、どちらも「なにが―どんなだ」の文型をなしています。「猫が」「本は」が「なにが」にあたる文節(主語)であり、「かわいい」「おもしろくなかった」が「どんなだ」にあたる文節(述語)です。

このように、形容詞には、述語、すなわち、「なにが―どんなだ」の文型の「どんなだ」にあたる文節をつくる働きがあります。この場合、形容詞は単独であるか、または、付属語(助動詞・助詞)をともないます。

(2) 修飾語になる

次の例文を見てください。

【A】 激しい 雨が降る。 (連体修飾語)

【B】 激しかっ  雨が止んだ。 (連体修飾語)

【C】 雨が 激しく 降る。 (連用修飾語)

【D】 雨はそれほど 激しく  降らない。 (連用修飾語)

それぞれの例文の赤字の語は、すべて形容詞「激しい」の活用したかたちです。

例文Aの「激しい」は、「雨」という名詞(体言)にかかっています。例文のBの「激しかっ」も、付属語「た」をともないながら「雨」にかかっています。Aの「激しい」とBの「激しかった」は、いずれも連体修飾語です。

例文Cの「激しく」は、それ単独で「降る」という動詞(用言)にかかっています。例文Dの「激しく」は、付属語「は」をともないながら「降ら(降る)」にかかっています。つまり、CとDの「激しく」は、いずれも連用修飾語です。

このように、形容詞は、連体修飾語(体言を修飾)や連用修飾語(用言を修飾)になることができます。いずれの場合も、付属語をともなったり、単独で修飾語になったりします。

ただ、動詞とちがって、形容詞は単独で連用修飾語になることができることに注意してください。動詞は、単独では連用修飾語になることができません。

(3) 主語になる

次の例文を見てください。

● 青い のが ほしい。

● から のは 好みでない。

「青いのが」という文節は、形容詞「青い」に助詞の「の」と「が」がついてものです。そして、「辛いのは」という文節は、形容詞「辛い」に助詞の「の」と「は」がついたものです。どちらの文節も、文中において主語の働きをしています。

このように、形容詞は、主語になることもできます。この場合、主語の文節は、形容詞(連体形)に「…のが」「…のは」「…のも」などがつくかたちになります。

(4) 接続語になる

次の例文を見てください。

● 室内が 暖かい ので 、冬でも快適だ。

「暖かいので」は、形容詞「暖かい」に接続助詞「ので」がついた文節です。この文節は、文中で接続語の働きをしています。

このように、形容詞は、接続助詞をともなって接続語の文節をつくることもできます。

★ まとめ ★

【形容詞の働き】

○ 形容詞は、文中で次のような働きをする。

① 述語(「どんなだ」の文節)になる。

② 修飾語(連体修飾語・連用修飾語)になる。

③ 主語になる(「のが」「のは」「のも」などがつく)。

④ 接続語になる(接続助詞がつく)。

▼ 練習問題で理解度チェック

【問題1】

次の各文中の下線を引いた語が形容詞であれば○、形容詞でなければ×と答えなさい。

(1) 本物とまぎらわしいデザインの偽物が多い。

(2) 部屋のなかにやわらかな午後の日ざしが入りこんだ。

(3) この部屋は、少しほこりっぽくていやだ。

(4) 青空に白くて大きな雲が浮かんでいた。

(5) 昼食を一人で食べると、楽しくない

【正解】

(1) ○  (2) ×  (3) ○  (4) ×  (5) ○

【解説】

ある単語が形容詞かどうかを見分ける問題です。

まずは、単語が活用をするかどうかをかんがえます。そして、活用する語であれば、言い切りの形にしてみましょう。形容詞であれば、言い切りの形は「い」で終わるはずです。

(1) 「まぎらわしい」は、活用する語です。そして、言い切りも同じ形になりますから、形容詞です。

(2) 「やわらかな」は、活用する語です。しかし、言い切りの形は「やわらかだ」となるので、形容詞ではありません。「やわらかな」は、形容動詞「やわらかだ」の連体形です。形容詞の「やわらかい」とまぎらわしいので注意。

(3) 「ほこりっぽく」は、活用する語です。そして、言い切りの形が「ほこりっぽい」になるので、形容詞です。「ほこりっぽい」は、名詞の「ほこり」に接尾語「ぽい」がついてできた形容詞です。

(4) 「大きな」は、連体詞の一つであって活用しない語です。形容詞の「大きい」とまぎらわしいので、注意してください。

(5) 「ない」という単語には、助動詞と形容詞(補助形容詞)の二つの種類があります。助動詞の「ない」は動詞(の未然形)につきますが、形容詞の「ない」は動詞には直接つきません。したがって、「ない」の品詞を見分ける際には、直前の語が動詞かどうかで判断します。設問文中の「ない」は「楽しく」という形容詞についているので、助動詞ではなく形容詞であることがわかります。

【問題2】

次の各文中の下線を引いた文節について、その働きを後から選んで記号で答えなさい。

(1) 大きいのは山梨産の桃で、小さいのは福島産です。

(2) 今日はもう遅いので、失礼します。

(3) 女優の演技がわざとらしく見える。

(4) このお寺の歴史は古く、仏像が重要文化財に指定されています。

 ア 述語  イ 修飾語  ウ 主語  エ 接続語

【正解】

(1) ウ  (2) エ  (3) イ  (4) ア

【解説】

形容詞には、動詞と同じように、四つの働きがあります。文節の形や前後関係から形容詞の働きを判断しましょう。

(1) 形容詞は、「のは」「のが」などをともなって主語になることができます。ここで使われる「の」は、それのついた語を体言に準じたものにする助詞(準体言助詞)です。

(2) 設問文下線部の「遅いので」は、形容詞「遅い」に接続助詞「ので」がついた形の文節です。この文節は、文中において接続語の働きをしています。

(3) 設問文中「わざとらしく」は、動詞「見える」にかかる文節です。形容詞の「わざとらしい」が単独で連用修飾語になっています。このように形容詞は、動詞とちがって、単独でも連用修飾語になることができます(副詞法)。

(4) 用言の連用形には、文をいったん中止した後でまた続けるという用法があります。これを中止法と言います。設問文は、「このお寺の歴史は古い。」という文と、「仏像が重要文化財に指定されています。」という文を、中止法によって一つの文としてつなげたものとかんがえればよいでしょう。そうすると、「古く」は文の前半部分の述語であることが理解できます。

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