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補助用言

動詞や形容詞のなかには、本来の用法ではなく補助的に用いられるものがあります。このページでは、補助用言とはなにかについて学んでいきます。補助動詞・補助形容詞とされる単語は、ぜひ覚えるようにしましょう。

▼ 補助動詞

次の二つの例文を見てください。

【A】 ネットで犬の動画を 見る 。

【B】 ネットで犬の動画を検索して みる 。

どちらの例文も、「見る(みる)」という動詞がつかわれています(赤字の語)が、そのあらわす意味がちがっています。

例文Aのほうは、「見る」という動詞の本来の意味をあらわしています。それに対して、例文Bのほうの「みる」は、「検索し」という語について、「とにかくそれをする」という意味をあらわしており、本来の意味はありません。

例文Bの「みる」のように、ほかの語のあとに続いてその意味を限定するような働きをする動詞を補助ほじょ動詞と言います。補助動詞は、ほかの語について補助的な役割を果たすものであって、その動詞が本来持っている意味は失われています。形式けいしき動詞とも言います。

補助動詞は、付属語の助動詞と働きが似ていますが、文法的には一つの動詞であって自立語です。そして、前の文節とつながって連文節をつくります

補助動詞は、前の文節に続けて用いられます。次の例文を見ましょう。

● これは花  ある 。 (助動詞「だ」の連用形)

● 花が置い  ある 。 (助詞「て」)

● 花はきれい  ある 。 (形容動詞の連用形の活用語尾)

このように、補助動詞がつく文節は「て(で)」の形になります。なお、補助動詞は自立語ですから、それ単独で一つの文節になります。

補助動詞の前に置かれる文節は「―て(で)」の形になりますが、文法的にはさまざまです。動詞の連用形+助詞「て(で)」の形のほかに、助動詞「だ」の連用形や形容動詞の連用形の活用語尾もこの形の文節をつくります。上の例で確認してください。

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補助動詞とされる単語には、具体的にどのようなものがあるでしょうか。次の例を見ましょう。

書いて ある 。

食べて いる 。

置いて おく 。

買って くる 。

教えて くれる 。

死んで しまう 。

成功して みせる 。

やって みる 。

教えて もらう 。

助けて やる 。

飛んで ゆく(いく) 。

赤字の単語が補助動詞です。この例のように、補助動詞は、実質的な意味に乏しいので、ひらがなで表記するのがふつうです。

なお、敬語動詞のなかにも、次のように補助動詞として用いられるものがいくつかあります。

飲んで いらっしゃる 。

励まして くださる 。

これで ございます 。

応援して いただく 。

運んで あげる 。

送って さしあげる 。

★ まとめ ★

【補助動詞】

○ 補助動詞は、ほかの語のあとに続いてその意味を限定する働きをする動詞である。

○ 補助動詞は、自立語であり、前の文節とつながって連文節になる。

○ 補助動詞は、「―て(で)」の形の文節につく。

▼ 補助形容詞

次の二つの例文を見てください。

【A】 眠くて食欲が 無い 。

【B】 何も食べたく ない 。

どちらの例文も、形容詞の「無い(ない)」が使われています(赤字の語)が、その意味が微妙にちがいます。

例文Aの「無い」は、「存在しない」という本来の意味をあらわしています。それに対して、例文Bの「ない」は、「食べたい」について「~でない」という意味(否定)をつけ加える働きをしています。

例文Bの「ない」のように、ほかの語のあとに続いてその意味を限定するような働きをする形容詞を補助ほじょ形容詞と言います。補助形容詞は、補助動詞と同じように、ほかの語にくっついて補助的な役割を果たすものです。形式けいしき形容詞とも言います。

補助形容詞は、付属語の助動詞と働きが似ていますが、文法的には一つの形容詞であって自立語です。そして、前の文節とつながって連文節をつくります

補助形容詞の例として、「ない」のほかには「ほしい」などがあります。

● このケーキを食べて ほしい 。

形容詞や形容動詞の連用形が連なる「ない」は補助形容詞です。これに対して、動詞の未然形が連なる「ない」は助動詞です。おなじ「ない」でも品詞がちがうことに注意してください。ただし、動詞の連用形に助詞「て」がつく形の文節であれば、補助形容詞の「ない」に連なることができます。次の例で確認してください。

● お菓子を食べ ない 。 (「ない」は助動詞)

● お菓子を食べ  ない 。 (「ない」は補助形容詞)

補助動詞と補助形容詞のどちらも、ほかの語のあとに続けて補助的に用いられる用言です。この二つをあわせて補助ほじょ用言または形式けいしき用言と呼びます。

補助用言は、文法的には一つの動詞または形容詞ですので、自立語として一つの文節をつくります。そして、直前の文節とセットの連文節になります。

★ まとめ ★

【補助形容詞】

○ 補助形容詞は、ほかの語のあとに続いてその意味を限定する働きをする形容詞である。

○ 補助形容詞は、自立語であり、前の文節とつながって連文節になる。

▼ 練習問題で理解度チェック

【問題1】

次の各文のなかから補助動詞を探しだして答えなさい。

(1) 人は、考えるあしである。

(2) 昔の親は、子に食わせてもらった。

(3) とりあえず荷物をここに置いておく。

(4) 友達が私の誕生日を覚えていてくれた。

【正解】

(1) ある  (2) もらっ(もらう)  (3) おく  (4) い(いる)、くれ(くれる)

【解説】

補助動詞かどうかを見分けるには、まず補助動詞になりうる単語を覚えておきましょう。文中で補助動詞になりうる単語を探しだし、つぎにその直前の文節に注目します。もしその文節が「―て(で)」のかたちであれば、たいていの場合は補助動詞です。

もっとも、直前が「て(で)」であればかならず補助動詞であるとはかぎりません。「駅まで歩い行く。」のように、本来の意味をあらわしている場合もあります。

(1) 「ある」が補助動詞です。直前に「で」があるので見つけやすいと思います。

(2) 「もらっ(もらう)」が補助動詞です。直前に「て」があります。

(3) 「おく」が補助動詞です。直前に「て」があります。「置いておく」という表現は、「置く(おく)」という動詞をくりかえし用いているので、すこし迷うかもしれません。しかし、文法的には間違った表現ではありません。

(4) 「い(いる)」「くれ(くれる)」が補助動詞です。両方とも、直前に「て」があります。このように補助動詞からなる文節が連続して用いられることもよくあります。

【問題2】

次の各文のなかから、下線部の語が補助形容詞であるものを選んで、番号で答えなさい。

① この部屋には、何もない

② 今日中にレポートを提出しなければならない。

③ あぶく銭なんて欲しくないよ。

④ 歩きタバコは、みっともない習慣です。

【正解】

【解説】

「ない」という語の品詞を見分ける問題です。「ない」という形には、形容詞と助動詞の二つの場合があります。さらに、形容詞の「ない」にも、ふつうの形容詞のほかに補助形容詞、形容詞の一部の場合があります。これらの品詞の見分け方を知っておきましょう。

まず、「ない」が形容詞と助動詞のいずれであるかを見分けるために、「ない」を「ぬ」に置きかえることができるかどうかを試します。「ぬ」に置きかえることができれば助動詞、できなければ形容詞です。設問では、②だけが「提出せぬ」と置きかえることができるので、②の「なけれ」は助動詞であることがわかります。

次に、形容詞がふつうの形容詞であるか補助形容詞であるかを見分けます。ふつうの形容詞であれば、単独で述語になることができます。しかし、補助形容詞は単独で述語になることができず、かならず前の文節と連文節になって働きます。①の「ない」は、単独で「存在しない」という意味の述語として働いています。それに対して、③の「ない」は、実質的な意味が前の「欲しく」にあって、「ない」単独では形式的な意味(否定)にすぎません。③の「ない」は「欲しく」と結びついて連文節となることによって、はじめて述語としての働きをすることができます。したがって、①の「ない」はふつうの形容詞であり、②の「ない」は補助形容詞であることがわかります。

最後に、④の「ない」ですが、この「ない」を取り去ると直前の「みっとも」だけでは単語になっていません。実は、この「ない」は「みっともない」という1語の形容詞の一部です。このように語尾に「ない」をふくむ形容詞の例として、「はかない」「せつない」「だらしない」などがあります。

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