要点のまとめ
■ 「だ」という語には、次のようなものがある。
① 形容動詞の活用語尾
「だ」を「な」に置きかえると、直後に体言が続くかたちになる。
〔海が おだやかだ。→ おだやかな 海〕
② 助動詞「だ」(断定)
「だ」を「な」に置きかえることができない。体言につく。
〔おだやかな 海だ。→ 海な ✖〕
③ 助動詞「た」(過去・完了)の濁音化
動詞の音便形(「―い」「―ん」)につく。
〔海で 泳いだ。 砂浜で 遊んだ。〕
④ 助動詞「そうだ」「ようだ」の一部
「そうだ」「ようだ」の形になっている。
〔海で 泳ぐそうだ。 嵐の ようだ。〕
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「だ」という語の識別のしかた(見分け方)について解説します。
次の例文を見てください。
【A】海が 穏やかだ。
【B】穏やかな 海だ。
【C】海で 泳いだ。
【D】海で 泳ぐそうだ。
各例文の下線部は、いずれも「だ」を含む語句です。ただし、文法上の性質・種類は、それぞれちがっています。
(1) 形容動詞の活用語尾
例文Aの「だ」は、形容動詞の(終止形の)活用語尾です。
例文Aの「穏やかだ」は、「穏やかな海」というように、「だ」を「な」に置きかえて直後に体言を連ねることができます。
このように、「だ」を「な」に置きかえると、直後に体言が続くかたちになるのが形容動詞の特徴です。
さらに、「とても穏やかな海」というように、直前に「とても」という副詞を補うことができます。これも、形容動詞の特徴の一つです。
テクニック★形容動詞の識別
① 言い切りの形が「だ」で終わる。
② 「―な」(連体形)に活用させて体言を続けることができる。
③ 直前に「とても」を補うことができる。
(2) 助動詞「だ」(断定)
例文Bの「だ」は、断定の助動詞(の終止形)です。
例文Bの「海だ」は、「海な景色」というように言いかえることができません。助動詞「だ」には、そのような用法がないからです。
たしかに助動詞「だ」にも連体形「な」がありますが、「海なのだ」「海なのに」「海なので」のように、助詞「の・のに・ので」がつく用法しかありません。
また、直前に「とても」を補うと、「とても海だ」のように不自然な表現になります。
助動詞「だ」は、主に体言につくという性質があるので、それによって見分けることができます。
テクニック★助動詞「だ」と形容動詞の違い
① 連用形の「に」がない。
② 連体形「な」につくのは、助詞「の・のに・ので」だけである。
(3) 助動詞「た」(過去・完了)の濁音化
例文Cの「だ」は、過去(完了)の助動詞「た」の音が濁ったものです。
助動詞「た」は主に用言の連用形につきますが、とくに五段活用の動詞につくときには音便が生じます。
さらに、ある種の五段活用動詞(ガ行・ナ行・バ行・マ行五段活用)の音便形につくときには、「た」が濁音化して「だ」になります。
たとえば、「泳ぐ」という動詞(ガ行五段活用)に「た」がつくと「泳いだ」になり、また、「遊ぶ」という動詞(バ行五段活用)に「た」がつくと「遊んだ」になります。
このように、動詞の音便形(「―い」「―ん」)につく「だ」は、過去(完了)の助動詞「た」の濁音化したものです。
(4) 助動詞「そうだ」「ようだ」の一部
例文Dの「だ」は、助動詞「そうだ」の一部です。
「そうだ」と同じように「だ」で終わる助動詞に「ようだ」があります。
「そうだ」「ようだ」は、その語の形によって助動詞であると判断することができます。
もっとも、「そうだ」というかたちの語がすべて助動詞であるとはかぎりません。
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次の各文の下線部の説明としてあてはまるものを、後のアからエのなかから選んで、記号で答えなさい。
(1) ライオンは、ネコ科の動物だ。
(2) 発表会までに準備が間に合いそうだ。
(3) 駅前は、いつもにぎやかだ。
(4) 冷蔵庫にあったジュースを飲んだ。
ア.形容動詞の活用語尾 イ.断定の助動詞
ウ.過去の助動詞 エ.助動詞「そうだ」の一部
【考え方】
「だ」を識別するときには、次の2点に着目します。
まず第一に、「だ」を含む文節を「―な」+体言のかたちに変えることができるかどうかを考えます。
変えることができるのであれば形容動詞の活用語尾、できないのであれば助動詞です。
問題の四つの文のうち、「―な」+体言のかたちに変えることができるのは、(2)と(3)です。「間に合いそうな感じ」「にぎやかな場所」というように。
ただし、(2)の「だ」は、形容動詞ではなく、助動詞「そうだ」の一部です。「そうだ」「ようだ」は、形容動詞と同じ活用をするので、形容動詞とまぎらわしい語です。
「そうだ」「ようだ」の形は助動詞であると覚えましょう。
*
次に、「だ」の直前の部分に注目します。
「だ」の直前が体言であれば断定の助動詞、動詞の音便形(「―い」「―ん」)であれば過去などの助動詞「た」の濁音化、「そう」「よう」であれば助動詞「そうだ」「ようだ」の一部です。
(1)の「だ」は、直前が「動物」という体言(名詞)ですから、断定の助動詞です。
(4)の「だ」は、直前が動詞「飲む」の音便形「飲ん」ですから、過去の助動詞です。
(2)の「だ」は、直前が「そう」ですから、助動詞「そうだ」の一部です。
【答】
(1) イ
(2) エ
(3) ア
(4) ウ
コメントをお書きください
けーむ (日曜日, 03 12月 2017 17:21)
これいいね わがりやすーばってなぼこれかちゃましいっきゃな
青 (月曜日, 17 6月 2019 21:07)
wakariyasuidesu!
メロンパン (金曜日, 10 1月 2020 06:48)
ありがとうございます�
とてもわかりやすくてタメになりました
また問題も付いていて実力を試せました�
ゆん (日曜日, 10 1月 2021 21:32)
小説を趣味で書いているんですけと、たまに動詞とかで分からなくなる(忘れる)時があるので、こういうのはすごく助かります