国語の文法
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「まい」

要点のまとめ

■ 助動詞「まい」

(1) 意味

① 打うち消けしの推量すいりょう …「~ないだろう」と想像する。

(例) 彼は、もう来こまい。

② 打うち消けしの意志いし …「~ないつもりだ」という気持ち。

(例) 怠け者にはなるまい。

※ 「う・よう」の推量・意志に打ち消し(否定)が加わった意味。

(2) 活用

無変化型むへんかがた

未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
○ ○ まい (まい) ○ ○

※ 連体形は、「こと・もの」が付く用法だけ。

(3) 接続

「まい」は、次のように接続する。

① 五段活用の動詞および助動詞「ます」の終止形に付く。

(例) 言うまい 思いますまい

② 五段活用以外の動詞および助動詞「せる・させる・れる・られる」の未然形に付く。

(例) 落ちまい 知らせまい

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解説

助動詞「まい」の意味・活用・接続を見ていきましょう。

「まい」の意味・活用は、「う・よう」と似ています。

1 「まい」の意味

「まい」には、次の二つの意味があります。

それぞれの意味を例文を見ながら考えましょう。

(1) 打ち消う けしの推量すいりょう

彼は、もう 来こまい。

「来まい」は、来ないということがまだ決まったわけではないけれども、来ないだろうと想像する(推おしはかる)という意味を表しています。

話し手が「~だろう」と想像することを推量といいます。助動詞「う・よう」の意味の一つが推量でした。

例文の「まい」は、この推量の意味に、さらに「~でない」という意味(打ち消し)が加わったものです。

つまり、「~ないだろう」と想像する(推しはかる)ことを意味しており、これを打ち消しの推量といいます。これが「まい」の一つめの意味です。

(2) 打ち消う けしの意志いし

決して 怠なまけ者には なるまい 。

「なるまい」は、そうならないようにするつもりである、あるいは、そうならないことを決心するという意味を表しています。

助動詞の「う・よう」の意味の一つに、話し手の「~するつもりだ」という気持ち・決心を表す意志がありました。

例文の「まい」は、この意志の意味に、さらに「~でない」という意味(打ち消し)が加わったものです。

つまり、「~ない(ようにする)つもりだ」という気持ち・決心を表していて、これを打ち消しの意志といいます。これが「まい」のもう一つの意味です。

*

以上のように、「まい」は打ち消しの推量と打ち消しの意志という二つの意味を表します。

「う・よう」が推量と意志を表すのに対して、それらの意味に打ち消し(否定)が加わったのが「まい」の意味であると理解してください。

【図】「まい」の意味

「まい」の意味

**

ある文中の「まい」が打ち消しの推量と打ち消しの意志のどちらであるかの見分け方が問題となります。

これについては、次のように考えるとよいでしょう。

国文法のコツ

「まい」の意味の見分け方

「まい」を「~ないだろう」に置きかえられるときは打ち消しの推量の意味、「~ないつもりだ」「~ないことにしよう」に置きかえられるときは打ち消しの意志の意味。

2 「まい」の活用

「まい」という助動詞はどのように活用するのでしょうか。

「まい」の活用表を見てみましょう。

【表】「まい」の活用表

基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
まい ○ ○ まい (まい) ○ ○
続くことば    

(言い切る)

コト    

★スマートフォンの方は、横にスクロールさせてください。

「まい」の活用形は、終止形と連体形の二つしかありません。しかも、同じ形です。

ことばの形は変化していませんが、活用形の別はあるので一応活用があると考えましょう。

このように、「まい」は無変化型むへんかがたの活用をする助動詞です。

無変化型の活用は、すべて基本形と同じであるので覚えやすいでしょう。

「う・よう」もまた、「まい」と同じように無変化型の活用をする助動詞です。

*

ところで、活用表をよく見ると、連体形の「まい」が丸かっこで囲んであります。

これは、連体形の「まい」が用いられるのは、「こと・もの」といった名詞が続く場合だけにかぎられるということを表しています。

次の例を参考にしてください。

あろう ことか あるまい ことか、財布が 盗まれた。

聞かなければ 悲しむまい ものを。

3 「まい」の接続

「まい」という助動詞がどのような語のあとに続くのかを考えてみましょう。

まずは次の例を見てください。

言う まい  (五段・終止形)

落ち まい  (上一段・未然形)

消え まい  (下一段・未然形)

来こ まい   (カ変・未然形)

失敗し まい (サ変・未然形)

この例の赤字部分はすべて動詞ですが、全部が同じ活用形というわけではありません。

五段活用の動詞(言う)は終止形ですが、それ以外の活用の動詞(落ちる・消える・来る・失敗する)は未然形になっています。

このように、「まい」は、五段活用の動詞にはその終止形に付きますが、五段活用以外の動詞にはその未然形に付く助動詞です。

*

次にもう一つの例を見てみます。

知ら せ まい  (未然形)

食べ させ まい (未然形)

言わ れ まい  (未然形)

来 られ まい  (未然形)

思い ます まい (終止形)

この例の赤字部分はすべて助動詞ですが、全部が同じ活用形というわけではありません。

「せ・させ・れ・られ」は「せる・させる・れる・られる」の未然形ですが、「ます」は終止形です。

このように、「まい」は助動詞にも付きますが、「せる・させる・れる・られる」のときはその未然形に付き、「ます」のときはその終止形に付きます。

もっと知る

「まい」は、五段活用以外の動詞や、助動詞「せる・させる・れる・られる」に付くときは未然形に付くと説明しました。みなさんが国語の問題を解くときは、この考え方にしたがったほうがよいでしょう。

しかし、次のような言い方をすることもあります。

・ 落ちるまい 消えるまい 来るまい 失敗するまい

・ 知らせるまい 食べさせるまい 言われるまい 来られるまい

この例では、すべて「まい」が終止形に付いています。

「まい」は、このように終止形に接続することもあるということを頭の片隅かたすみに入れておきましょう。

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練習問題

問題1

次の各文中の下線部の意味が、(ア)打ち消しの推量と(イ)打ち消しの意志のいずれであるかを記号で答えなさい。

(1) この病気は治なおるまい。

(2) 平和の灯ひを消すまい。

(3) 遺族の悲しみは消えまい。

(4) けっして泣くまいとこらえた。

【考え方】

助動詞の意味を見分けるときは、同じ意味のことばに置きかえたり、適当なことばを文中に入れたりすることができないかを試すのがコツです。

打ち消しの推量は「~ないだろう」、打ち消しの意志は「~ないつもりだ」「~ないことにしよう」などのことばに置きかえることができます。

また、打ち消しの推量であれば「たぶん」などの語を文中に入れても意味がとおります。

(1)と(3)は、「~ないだろう」に置きかえたり、「たぶん」を挿入したりしても文の意味がおかしくなりません。したがって、打ち消しの推量の意味です。

(2)と(4)は、「~ないつもりだ」「~ないことにしよう」に置きかえることができますから、打ち消しの意志の意味です。


【答】

(1) ア

(2) イ

(3) ア

(4) イ

*

問題2

次の各文中の( )に後ろの単語を適当な形にして入れなさい。

(1) そんなはずは( )まい。[ある]

(2) 反対派は、( )まい。[納得する]

(3) 子どもを道路で遊ば( )まい。[せる]

(4) あなたにはわかり( )まい。[ます] 

【考え方】

「まい」は、接続する語の種類によって終止形と未然形のどちらに付くかが決まります。

「まい」は、五段動詞の場合はその終止形に付き、それ以外の活用の動詞の場合はその未然形に付きます。サ変動詞の場合は【―し】の形の未然形に付きます。

また、「まい」は、助動詞「せる・させる・れる・られる」にはその未然形に付き、助動詞「ます」にはその終止形に付きます。


【答】

(1) ある

(2) 納得し

(3) せ

(4) ます

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