国語の文法
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名詞(2)種類

要点のまとめ

■ 名詞の種類

名詞は、意味によって分類ぶんるいすることができる。

① 普通名詞ふつうめいし……物事ものごとの一般的いっぱんてきな名前を表す。

(例) 人間 川 時計 スポーツ

② 固有名詞こゆうめいし……そのものだけに付つけられた名前を表す。

(例) 松尾芭蕉まつおばしょう 東京タワー 奥の細道おく ほそみち

③ 数詞すうし……物の数量すうりょうや物事の順序じゅんじょを表す。

(例) 一個 二人 第三 四等

④ 代名詞だいめいし……人や物事などを指さし示しめす。

(例) あなた わたし これ ここ

■ 形式名詞

形式名詞けいしきめいしは、実質的じっしつてきな意味を持たず、形式的けいしきてきに用いられる名詞である。

(例) 読んだことがある。 出かけるところです。

■ 転成名詞

転成名詞てんせいめいしとは、他の品詞であった単語が名詞に転てんじたものをいう。

(例) 考えが浮かぶ。 多くは女性です。

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解説

1 名詞の種類

名詞は、その意味によって、次のように分類ぶんるいすることができます。

(1) 普通名詞ふつうめいし

一般いっぱんにそのものが何と呼ばれているか(物事の一般的いっぱんてきな名前)を表す名詞を普通名詞といいます。

「人間」「川」「時計」「スポーツ」といったように、同じ種類の物事ものごとを広く意味するものです。

たとえば、同じ人であるなら誰であっても、「人間」という名前で呼ぶことができます。

(2) 固有名詞こゆうめいし

普通名詞に対して、同じ種類の他のものと区別してそのものだけの名前を表すときに用いる名詞があります。

たとえば、同じ「川」と呼ばれる地形にもたくさんのものがあって、「多摩川たまがわ」「利根川とねがわ」「信濃川しなのがわ」などのようにそれぞれ違ちがった名前が付つけられています

「多摩川」「利根川」「信濃川」のように、そのものだけに付けられた名前を表す名詞を固有名詞といいます。

次の例のような、人や国、地域ちいき、建物、作品などに付けられた名前が固有名詞に当たります。

松尾芭蕉まつおばしょう フランス 横浜 東京タワー 奥おくの細道ほそみち

(3) 数詞すうし

名詞のなかには、数かずを表すものがあります。

次の例を見てください。

【A】一個 二人 三倍 四冊 何枚 いくつ

【B】一番 二位 第三 四等 何番目

Aの語例は、それぞれ物の数量すうりょうを表しています。

また、Bの語例は、それぞれ物事の順序じゅんじょを表しています。

このように、物の数量や物事の順序を表す名詞を数詞といいます。

「何枚」「いくつ」「何番目」のように、決まっていない(不特定ふとくていの)数量または順序を表す名詞も数詞の仲間です。

Aのように物の数量を表す数詞を基数詞きすうしと呼び、Bのように物事の順序を表す数詞を序数詞じょすうしと呼びます。

もっと知る

数詞では、「1人」「2枚」「3匹」の「人」「枚」「匹」のように、数を表す語のあとに接尾語せつびごが付いています。この接尾語を助数詞じょすうしといいます。

助数詞として用いられる語にはさまざまなものがあり、数かぞえる物の種類によって使い分けられます。

たとえば、紙や板などのように薄くて平ひらたい物を数えるときは「枚まい」、さまざまな生き物を数えるときは「匹ひき」(鳥やウサギのときは「羽わ」)、食器にもったごはんや箸はしを数えるときは「膳ぜん」(箸は2本1組で1膳)という語を助数詞として用います。

(4) 代名詞だいめいし

名詞のなかには、人や物事などを、そのものの名前を言わずに、それと指さし示しめすものがあります。

次の例文を見てください。

あなた と わたし は、彼 と同じチームです。

これ を ここ から あちら に移動してください。

最初の例文の「あなた」「わたし」「かれ」という名詞は、それぞれ聞き手・話し手・それ以外の者を指し示しています。

また、次の例文の「これ」「ここ」「あちら」という名詞は、それぞれ物・場所・方向を指し示しています。

このように、人や物事などを指し示す名詞を代名詞といいます。

代名詞については、「名詞(3)代名詞」のページでくわしく説明します。

このサイトでは、代名詞を名詞の種類にふくめることにして、独立の品詞とはしていません。これとは反対に、代名詞を名詞ではなく独立した品詞としてあつかう考え方もあります。

2 形式名詞

次の例文を見てください。

その本を読んだ こと がある。

この道をよく通った もの だ。

これから出かける ところ です。

上の例文の「こと」「もの」「ところ」はすべて名詞であって、それぞれの名詞を下線部の語句ごくが修飾しています。

いずれの例文も、「ことがある」「ものだ」「ところです」という部分だけでは、どのような意味内容を表しているかがわかりません。

「その本を読んだ」「この道をよく通った」「これから出かける」という修飾する語句があってはじめて、文が内容を持ったものになります。

つまり、「こと」「もの」「ところ」という名詞は文としての形式けいしきをととのえるために用いられていて、具体的ぐたいてきな内容(実質じっしつ)はそれを修飾する語句によって表されています。

このように、実質的な意味を持たず、形式的に用いられる名詞(普通名詞)を形式名詞けいしきめいしといいます。

*

形式名詞には、「こと」「もの」「ところ」のほかに、次のようなものがあります。

明るい うち に帰る。

将来の ため に勉強する。

言われた とおり にする。

すぐやる つもり だ。

見ない わけ にはいかない。

来ない はず がない。

思いつく まま に話す。

国文法のコツ

形式名詞(「こと・もの・ところ・うち・ため・とおり・つもり・わけ・はず」など)は、直前に修飾する文節(連文節)が付く。

形式名詞は、本文の例のように、ひらがな﹅﹅﹅﹅で表記ひょうきするのがふつうです。

3 転成名詞

次の例文を見てください。

よい 考え が浮かんだ。

ファンの 多く は女性です。

最初の例文の「考え」は、動詞「考える」の連用形と同じ形をしています。

また、次の例文の「多く」は、形容詞「多い」の連用形と同じ形をしています。

しかし、これらの語は、動詞や形容詞ではなく、動詞や形容詞の連用形が名詞として用いられるように変わったものです。

このように、もとは別の品詞であった単語が名詞に転てんじた(変わった)ものを転成名詞てんせいめいしといいます。

*

転成名詞には、上の例の「考え」のように動詞の連用形(「ます」が付く形)から名詞に転じたものと、「多く」のように形容詞の連用形(「なる」が付く形)から名詞に転じたものとがあります。

① 動詞の連用形 → 名詞

光ひかり 氷こおり 頂いただき 煙けむり 話はなし 晴れ 迷い 遊び 帰り

② 形容詞の連用形 → 名詞

近く 遠く 多く 早く 古く

「光(ひかり)」「氷(こおり)」「頂(いただき)」「煙(けむり)」「話(はなし)」などの語は、それぞれもとの動詞の連用形では送りがな﹅﹅﹅﹅が付きますが、名詞になると送りがなが付きません。

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練習問題

問題1

次の各文中から名詞をすべて抜き出し、それぞれの名詞の種類を後から選び、記号で答えなさい。

(1) 法隆寺ほうりゅうじは、日本で最も古い建物です。

(2) 部屋で猫を2匹飼っている。

(3) それが一番の思い出です。

ア 普通名詞

イ 固有名詞

ウ 数詞

エ 代名詞

【考え方】

名詞は、意味によっていくつかの種類に分類することができます。

文中のそれぞれの名詞がどの種類に当てはまるかを、それらの意味の特徴から判断しましょう。

(1)の文の名詞は、「法隆寺」「日本」「建物」の三つ。

「法隆寺」「日本」は、それぞれ建物の名前と国の名前、つまり固有名詞です。

「建物」は、普通名詞です。

(2)の文の名詞は、「部屋」「猫」「2匹」の三つ。

「部屋」「猫」は普通名詞で、「2匹」は数詞です。

(3)の文の名詞は、「それ」「一番」「思い出」の三つ。

「それ」は、物事を指し示す名詞、すなわち代名詞です。

「一番」は数詞で、「思い出」は普通名詞です。


【答】

(1) 法隆寺―イ、日本―イ、建物―ア

(2) 部屋―ア、猫―ア、2匹―ウ

(3) それ―エ、一番―ウ、思い出―ア

*

問題2

次の各文中から形式名詞を抜き出して答えなさい。

(1) 誰でもミスをすることがある。

(2) 先生が病気のために学校を休んだ。

(3) 天気がよいうちに洗濯物を干ほす。

(4) 結果は、予想したとおりになった。

【考え方】

形式名詞とされる単語はかぎられているので、本文の解説を見てそれらを覚えるようにしましょう。

形式名詞の特徴は、それだけでは具体的な内容を持たず、それを修飾する文節・連文節が直前に付くことです。

(1) 「こと」が形式名詞で、「ミスをする」という連文節がそれを修飾しています。

(2) 「ため」が形式名詞で、「病気の」という文節がそれを修飾しています。

(3) 「うち」が形式名詞で、「天気がよい」という連文節がそれを修飾しています。

(4) 「とおり」が形式名詞で、「予想した」という文節がそれを修飾しています。


【答】

(1) こと

(2) ため

(3) うち

(4) とおり

**

問題3

次の(1)と(2)の最初の文と下線部の品詞が同じものをそれぞれア~ウから一つ選び、記号で答えなさい。

(1) よく寝たので、体の疲れがとれた。

ア よく考えてから話そう。

イ 君の帰りが待ち遠どおしい。

ウ 台風が通り過ぎてすっかり晴れた。

(2) 電車の音が遠くから聞こえる。

ア だんだん呼吸が速くなってきた。

イ 遅刻ちこくしないように早く起きなさい。

ウ 駅の近くに交番があります。

【考え方】

転成名詞とそうでないものとを見分ける問題です。

転成名詞かどうかは、単語の形だけで見分けることができません。下線部の語の直後に注目して判断しましょう。

(1) 「疲れ」は、直後に「が」(助詞)があるので、名詞です。

イの「帰り」も、同じように直後に「が」があるので、名詞です。

アの「考え」やウの「晴れ」の直後にある「て」(助詞)や「た」(助動詞)は、どちらも名詞には付きません。これらの語は、動詞の連用形です。

(2) 「遠く」は、直後に「から」があるので、名詞です。

アの「速く」とイの「早く」は、単独で直後の動詞を修飾しています。ふつう名詞は、単独で修飾語になることがありません。よって、アの「速く」とイの「早く」は、名詞ではなく形容詞の連用形です。

ウの「近く」は、直後に場所を表す「に」(助詞)があるので、名詞です。


【答】

(1) イ

(2) ウ

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