国語の文法
  • ホーム
  • 文法の基礎
  • 用言
  • 活用のない自立語
  • 助動詞
  • 助詞
  • 語の識別
  • 文の組み立て
  • 敬語
  • 掲示板

ホーム > 活用のない自立語 > 名詞(3)代名詞

名詞(3)代名詞

要点のまとめ

■ 代名詞とは

代名詞だいめいし……人や物事ものごとなどを指さし示しめす名詞。

(例) あなた これ そっち

■ 人称代名詞

人称代名詞にんしょうだいめいし……人を指し示す名詞。

① 自称じしょう(第一人称だいいちにんしょう)……話し手(書き手)自身を指す。

(例) わたし ぼく

② 対称たいしょう(第二人称だいににんしょう)……相手(聞き手、読み手)を指す。

(例) あなた きみ

③ 他称たしょう(第三人称だいさんにんしょう)……話し手・聞き手以外の人を指す。

(例) このかた そのかた 彼かれ 彼女かのじょ

④ 不定称ふていしょう……わからない人や決まっていない人を指す。

(例) どなた だれ

■ 指示代名詞

指示代名詞しじだいめいし……物事・場所・方向を指し示す名詞。

① 近称きんしょう……話し手に近い物事などを指す。

(例) これ ここ こちら

② 中称ちゅうしょう……聞き手に近い物事などを指す。

(例) それ そこ そちら

③ 遠称えんしょう……どちらからも遠い物事などを指す。

(例) あれ あそこ あちら

④ 不定称……わからない物事などや決まっていない物事などを指す。

(例) どれ どこ どちら

[スポンサードリンク]

解説

1 代名詞とは

たとえば、「あなた」「これ」「そっち」という単語があります。

これらの単語は、人・物・方向の名前を表すものではありません。

そうではなく、人・物・方向の名前の代わりにそれらを指さす言葉として用いられます。

「あなた」「これ」「そっち」などのように、人や物事ものごとなどをその名前を言わずに指し示しめす単語(名詞)を代名詞といいます。代名詞は、名詞の種類の一つです。

このサイトでは代名詞を名詞の一種としてあつかいますが、代名詞を名詞とは別個独立の品詞とする考え方もあります。

*

代名詞には、大きく分けて、人称代名詞と指示代名詞の2種類があります。

それぞれの種類について、くわしく見ていきましょう。

2 人称代名詞

代名詞のうち、人を指し示すものを人称代名詞にんしょうだいめいしといいます。

人称代名詞は、誰を指すかによって、次の四つに分けることができます。

(1) 自称じしょう(第一人称だいいちにんしょう)

「わたし」「ぼく(僕)」などのように、話し手(書き手)自身を指す代名詞を自称または第一人称といいます。

わたしは、ご飯を食べます。

(2) 対称たいしょう(第二人称だいににんしょう)

「あなた」「きみ」などのように、相手である聞き手(読み手)を指す代名詞を対称または第二人称といいます。

あなた に感謝します。

(3) 他称たしょう(第三人称だいさんにんしょう)

「このかた」「かれ(彼)」など、話し手や聞き手以外の人(第三者)を指す代名詞を他称または第三人称といいます。

駅前えきまえで 彼 と会った。

他称は、さらに次の三つに分けることができます。

① 近称きんしょう … 話し手に近い人を指す。

「このかた」「こいつ」など

② 中称ちゅうしょう … 聞き手に近い人を指す。

「そのかた」「そいつ」など

③ 遠称えんしょう … 話し手・聞き手のどちらからも遠い人を指す。

「あのかた」「あいつ」「彼」「彼女かのじょ」など

(4) 不定称ふていしょう

「どなた」「だれ(誰)」など、話し手にわからない人や、誰と決まっていない人を指す代名詞を不定称といいます。

このバッグは、誰 のですか。

どなた でもご参加ください。

疑問文で用いられることの多い代名詞です。

*

人称代名詞の種類と語例を表にしてまとめておきます。

【表】人称代名詞の種類

自称

(第一人称)

対称

(第二人称)

他称(第三人称) 不定称
近称 中称 遠称

わたくし

わたし

ぼく

おれ

あなた

きみ

おまえ

このかた

こいつ

そのかた

そいつ

あのかた

あいつ

彼かれ

彼女かのじょ

どのかた

どなた

だれ

どいつ

★スマートフォンの方は、横にスクロールさせてください。

人称代名詞にはいろいろな表現がありますが、使用する状況に応じてそれらを使い分ける必要があります。

たとえば、公おおやけの場所や改あらたまった場面では、「わたくし」や「あなた」「このかた」といった表現を用いるべきであって、「おれ」「おまえ」「こいつ」といった表現を用いるのは適切ではありません。

もっと知る

普通名詞のなかには、代名詞とまぎらわしいものがあります。たとえば「お父さん・お母さん・兄・妹・先生」などといった名詞は、人称代名詞と考えてしまいそうですが、代名詞ではありません。

また、名詞のなかには、特殊とくしゅな代名詞としての用法を持つものがあります。

次の例文を見てください。

・あなたは、自分 の体を大事にしてください。

・私は、自己 の責任で参加します。

それぞれの例文にある「自分」「自己」という名詞は、それらの前に出てきた「あなた」「私」が示す人物と同じ人物を指しています。(このような名詞を再帰代名詞さいきだいめいしなどと呼びます。)

3 指示代名詞

代名詞のうち、物事・場所・方向(方角)を指し示すものを指示代名詞しじだいめいしといいます。

指示代名詞は、次の四つに分けることができます。

(1) 近称きんしょう

「これ」「ここ」「こちら」などのように、話し手(書き手)に近い物事などを指す代名詞を近称といいます。

これ が欲ほしい。

出口は、ここ です。

(2) 中称ちゅうしょう

「それ」「そこ」「そちら」などのように、聞き手(読み手)に近い物事などを指す代名詞を中称といいます。

それ を貸かしてください。

そこ から何か見えますか。

(3) 遠称えんしょう

「あれ」「あそこ」「あちら」などのように、話し手と聞き手のどちらからも遠い物事などを指す代名詞を遠称といいます。

あれ が富士山ふじさんです。

あそこ まで競争しよう。

【図】近称・中称・遠称

近称・中称・遠称

(4) 不定称ふていしょう

「どれ」「どこ」「どちら」などのように、話し手にわからない物事などや、とくに決まっていない物事などを指す代名詞を不定称といいます。

あなたの作品は どれ ですか。

このカードは、どこ の駅でも使える。

*

指示代名詞の種類と語例を表にしてまとめておきます。

【表】指示代名詞の種類

  近称 中称 遠称 不定称
物事 これ それ あれ どれ
場所 ここ そこ あそこ どこ
方向

こちら

こっち

そちら

そっち

あちら

あっち

どちら

どっち

もっと知る

指示代名詞と似たような単語に、「こう・そう・この・あの・こんなだ・どんなだ」などといった単語があります。

これらの単語は、指示代名詞とは品詞がちがいますが(副詞・連体詞・形容動詞)、何かを指し示す働きをしていることが指示代名詞と共通しています。

そこで、指示代名詞とこれらの単語をまとめて指示語しじごと呼びます。

指示語は、その単語の頭が「こ・そ・あ・ど」のいずれかであるので、「こそあど言葉」と呼んだりもします。

(指示語については、「指示語(こそあど言葉)」のページで解説しています。)

[スポンサードリンク]

練習問題

問題1

次の文中の丸かっこに入る適当な語を答えなさい。

「代名詞には、大きく分けて(①)と(②)の2種類がある。(①)は、(③)を指し示す語であって、自称・(④)・他称・(⑤)に区別することができる。(②)は、(⑥)・場所・(⑦)を指し示す語であって、近称・中称・(⑧)・(⑤)に区別することができる。(⑦)をさし示す(②)の例として、『こちら』『どちら』などがある。」

【考え方】

このページで学んだ内容のおさらいです。

「要点のまとめ」や本文の解説を見ながら当てはまる語を考えましょう。


【答】

① 人称代名詞(人代名詞)

② 指示代名詞

③ 人

④ 対称(第二人称、二人称)

⑤ 不定称

⑥ 物事(事物)

⑦ 方向(方角)

⑧ 遠称

*

問題2

次の表は、指示代名詞についてまとめたものである。各番号の欄らんに当てはまる適当な語を答えなさい。

近称 ① 遠称 不定称
これ ② あれ どれ
③ そこ ④ ⑤

こちら

こっち

⑥

そっち

あちら

⑦

⑧

どっち

【考え方】

指示代名詞の表を完成させる問題です。本文にある表(「指示代名詞の種類」)を参考にしながら、空白部分を埋うめていきましょう。

指示代名詞には、近称・中称・遠称・不定称の区別があります。それぞれ「こ」「そ」「あ」「ど」ではじまる語であることを知っていれば、各々の空欄にどのような語が入るかの見当がつきます。

指示代名詞は数が少ないので、表にある単語を覚えるようにしましょう。


【答】

① 中称

② それ

③ ここ

④ あそこ

⑤ どこ

⑥ そちら

⑦ あっち

⑧ どちら

  • 名詞(1)性質と働き
  • 名詞(2)種類
  • 名詞(3)代名詞
  • 副詞(1)性質と働き
  • 副詞(2)種類
  • 連体詞
  • 接続詞
  • 感動詞

▼ご意見・ご質問は掲示板へ

掲示板

▼このサイトをシェアする

◆◆◆サイト内検索◆◆◆

[スポンサードリンク]

プライバシーポリシー | サイトマップ
© 2015-2023 KUSUHARA
ログアウト | 編集
  • ホーム
    • サイト更新情報
  • 文法の基礎
    • 言葉の単位
    • 文節の働き(1)主語・述語
    • 文節の働き(2)修飾語
    • 文節の働き(3)接続語・独立語
    • 単語の分類(1)自立語と付属語
    • 単語の分類(2)単語の活用
    • 単語の分類(3)品詞の分類
    • 指示語(こそあど言葉)
    • 複合語・派生語
  • 用言
    • 動詞(1)性質と働き
    • 動詞(2)活用とその種類
    • 動詞(3)活用形とその用法
    • 動詞(4)五段活用・音便
    • 動詞(5)上一段活用
    • 動詞(6)下一段活用
    • 動詞(7)カ行変格活用・サ行変格活用
    • 動詞(8)活用の種類の見分け方
    • 動詞(9)自動詞・他動詞
    • 動詞(10)可能動詞
    • 形容詞(1)性質と働き
    • 形容詞(2)活用
    • 形容動詞(1)性質と働き
    • 形容動詞(2)活用
    • 補助動詞・補助形容詞
  • 活用のない自立語
    • 名詞(1)性質と働き
    • 名詞(2)種類
    • 名詞(3)代名詞
    • 副詞(1)性質と働き
    • 副詞(2)種類
    • 連体詞
    • 接続詞
    • 感動詞
  • 助動詞
    • 助動詞の性質と働き
    • 助動詞の分類
    • 「せる・させる」
    • 「れる・られる」
    • 「ない・ぬ(ん)」
    • 「う・よう」
    • 「まい」
    • 「たい・たがる」
    • 「た(だ)」
    • 「そうだ」
    • 「ようだ」
    • 「らしい」
    • 「ます」
    • 「だ」
    • 「です」
    • 助動詞活用表
  • 助詞
    • 助詞の性質と働き
    • 格助詞の働き
    • 主な格助詞の用法
    • 接続助詞の働き
    • 主な接続助詞の用法
    • 副助詞の働き
    • 主な副助詞の用法
    • 終助詞の働き
    • 主な終助詞の用法
  • 語の識別
    • 「ない」の識別
    • 「が」の識別
    • 「だ」の識別
    • 「で」の識別
    • 「な」の識別
    • 「に」の識別
  • 文の組み立て
    • 文節の種類
    • 文節どうしの関係
    • 連文節と文の成分
    • 文の成分の位置
    • 文の種類
  • 敬語
    • 敬語とその種類
    • 尊敬語
    • 謙譲語
    • 丁寧語
    • 敬語の使い方
  • 掲示板
    • 過去掲示板1
  • トップへ戻る